SF

ルパート・サンダース監督「Ghost in the Shell」

劇場版アニメをロードショーで観たのが僕のささやかな自慢である。 アニメの原作が実写化されると失望することが多いが、本作品はとてもよかった。押井守監督の「Ghost in the Shell」の世界観、ストーリーをかなり忠実に実写化している。ストーリーやエピソ…

新海誠「君の名は。」

雲を描く人 新海誠の作品は「雲のむこう、約束の場所」から観るようになった。「雲の〜」は東京勤務時代、渋谷の小さな小さな劇場で観た。「雲」のディテールをここまで克明に描いたアニメに初めて出会った。実は僕自身が子どもの頃から「雲」を眺めるのが大…

トム・ヒレンブラント「ドローンランド」

近未来の交通とメディアの姿を描いたSFを探していて、本書に遭遇。高城剛の「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか」が予言するような「インターネットにつながった自律型ドローンが日常のあらゆる空間を飛び交う未来」を描いたSF。著者はドイツ人で、料理ミス…

ウィリアム・ホープ・ホジスン「グレンキャリグ号のボート」

個人的な趣味の本の話。翻訳されるのを、40年近く、待ちに待って、待って、待ちくたびれて、諦めてしまっていた作品。英国の怪奇小説作家ウィリアム・ホープ・ホジスン(1877〜1918)の、ボーダーランド三部作と呼ばれる長編シリーズのひとつ。ナイトランド叢…

ミシェル・ウエルベック「服従」

これも原さんから。フランスにイスラム政権が誕生するという架空の近未来を描いた小説。日本の読者の間でもかなり話題になっている。読んでみてとても面白かったのだけれど、僕の知見では、要約や批評的な文章は到底無理。フランスにイスラム政権が成立する…

「STAR WARS/ジェダイの覚醒」

時間を忘れて楽しんだ。しかし。 遅ればせながら「STAR WARS/ジェダイの覚醒」2D字幕版を鑑賞。2時間を超える長さを感じることなく、退屈せずに最後まで楽しめた。一緒に観た友人も「面白かった」という感想。ミレニアム・ファルコン号、ハン・ソロが登場…

アンディ・ウィアー「火星の人」

面白いとは聞いていたけれど、600ページ近いボリュームと火星有人探査という平凡なテーマのせいで敬遠していた。2016年2月公開のリドリー・スコット監督「オデッセイ」の原作、ようやく購入。2日強でいっき読み。いや文句なしに面白かった。 古くて新しい…

ウィリアム・ホープ・ホジスン「幽霊海賊」

翻訳を待ち望んで、30年以上。 個人的に30年以上翻訳を待ち望んでいた作品。百年以上前の古い作品だし、人に勧めるような本ではないが、とても嬉しかったので、感想を書くことにする。ホジスンの名を知る人は少ないと思う。1963年、東宝で「マタンゴ」という…

宮内悠介「ヨハネスブルグの天使たち」

このところ日本の新しいSF作家たちを読んでいる。囲碁や将棋など、ゲームを題材にしたSF短編集「盤上の夜」がなかなかよかったので、本書を購入。舞台は、前作とはガラリと変わって、近未来のリアルワールド。内戦により荒廃した近未来のヨハネスブルグ、9.1…

宮内悠介「盤上の夜」

まず、これSFなの?という疑問が。不思議な才能だ。囲碁、チェッカー、麻雀、チェスの原型となったチャトランガ、将棋…。全作品、ゲームが題材である。小川洋子の、チェスを題材にした小説「猫を抱いて象と泳ぐ」を思い出した。チェスの世界でしか生きられな…

スタニスワフ・レム「ソラリス」沼野充義 訳 再読

ほぼ40年ぶりの再読。 世界30数カ国語に翻訳されているという名作中の名作SF。レムは、僕が一番好きなSF作家である。ソ連のアンドレー・タルコフスキーと米国のスティーブン・ソダーバーグによって映画化され、どちらも劇場で観ている。タルコフスキー版では…

ジェフ・ヴァンダミア「全滅領域」「監視機構」「世界受容」

この著者の作品を初めて読んだ。久々にハマったSF。3部作である。「サザーン・リーチ・シリーズ」というらしい。1作目を読み始めた時点で、すでに3作とも出版済みだったので、1週間ほどでいっきに3作を読み終えた。印象は「懐かしさ」と「新しさ」。懐…

町山智浩『〈映画の見方〉がわかる本 「2001年宇宙の旅」から「未知との遭遇」まで』

映画と僕のの青春時代。 前から読もう読もうと思いながら、なかなか読めなかった本。著者の本は、本書の続編とも言える「ブレードランナーの未来世紀」と「トラウマ映画館」を読んだ。どちらも、とても面白かった。僕自身が見たことがある映画が、著者の手に…

宮部みゆき「荒神」

2013年3月から2014年3月まで朝日新聞に連載していた新聞小説。毎日コマ切れに読まされる新聞小説は好きではないが、本書は連載中から気になっていて、発売と同時に購入。不思議なことに宮部みゆきの小説を読むのは本書が初めて。著者の作品が別に嫌いという…

最相葉月「星新一 一〇〇一話をつくった人」

著者のノンフィクション「セラピスト」がとてもよかったので、他の作品を読みたくて、「なんといふ空」と「仕事の手帳」というエッセイを読んだ。その「仕事の手帳」の中で紹介されていたのが本書。読んでみたら「セラピスト」以上に衝撃を受けた。なんでも…

奥泉光「東京自叙伝」

タイトルがとてもいい。コンセプトが明快に見える。著者は1994年「石の来歴」で芥川賞を受賞している。2年ほど前に著者による「神器―軍艦「橿原」殺人事件」を読んだ。「神器」は、ミステリーと思って読み始めたが、内容はかなりぶっ飛んでいた。太平洋戦争…

藤崎慎吾「深海大戦」

著者の前々作の「ハイドゥナン」は、深海テーマと海底遺跡、島の伝説、共感覚、海底地震など魅力的な要素を組み合わせた壮大なSFだった。前作の「鯨の王」はシロナガスクジラをはるかに越える巨体と知能を持った新種の鯨とのファーストコンタクト話で、まあ…

グレゴリー・ベンフォード「輝く永遠への航海」

ロボットが人類に反乱を起こす「ロボポカリプス」を読んで「機械VS人間の戦い」を描いた作品をあれこれ思い描いているうちに読みたくなった作品がいくつかあった。その内の一冊が本書である。「夜の大海の中で」から始まる「機械生命VS有機生命」シリーズの…

上田早夕里「華竜の宮」

Kindle Paperwhiteで購入。 電子書籍で最後まで読み終えた記念すべき最初の作品となった。いままでiPhoneやiPadで電子書籍を何点か購入したことはあるが、全部途中で挫折。Kindle Paperwhiteを購入してからも冲方丁の「光圀伝」を購入したがなぜか読了できず…

ダニエル・H・ウィルソン「ロボポカリプス」

機械VS人類。 スピルバーグ監督による映画化という帯のコピー惹かれて購入。進化した機械が人類に反乱を起こすというテーマは、SFの黎明期から繰り返し描かれてきた。この「機械と人類の戦い」という物語は、昔は遠い夢物語だったが、新しくなるに従ってリア…

マイクル・クライトン「マイクロワールド」

2カ月以上も間が空いてしまった。 本は以前と変わらず読んでいるのだが、感想が書けなくなってしまった。幾つかの個人的な事情や、仕事のこともあり、精神的に余裕がなく、読んだ本の中身を、きちんと自分の中で消化するためのエネルギーが枯渇しているみた…

朱野帰子「海に降る」

海洋をテーマにした文学は、大好きなジャンルだが、その中でも深海を舞台にした「深海もの」は、どんな駄作でも必ず買ってしまう分野。古くは、ジュールベルヌの「海底二万里」。A.C.コナンドイル「マラコット深海」。A.C.クラークの「海底牧場」。最近では…

高野和明「ジェノサイド」

今でも書店で平積みのベストセラー。 昨年のベストセラーを今ごろ読了。クライトン風のハイテクスリラー、SF、軍事モノと、ジャンルを超越している。アメリカのネオコン、ルワンダの虐殺など、人類の悪意や暴力を語る視点は、伊藤計劃「虐殺器官」を思わせる…

小松左京「虚無回廊1・2・3」

小松左京の最後の長編ともいえる作品。宇宙と人類の未来をテーマにした名作「果てしなき流れの果てに」「神への長い道」「ゴルディアスの結び目」等の系譜につながる壮大なテーマ作品だ。最初に刊行された時に「1」は読んだと思う。再読してみて、ストーリ…

小松左京「小松左京の大震災'95  この私たちの体験を風化させないために 」

SFファン失格。 自分は「SFファン」を自称している。小学校の高学年からSFを読み始め、中学、高校、大学と、人生の最も感じやすい(?)時期をSFを読みながら過ごした。そのせいで、自分の人格形成にSFが深く関わっていることは間違いない、と思っている。ま…

歯医者で「マイベストB級SF映画」を選ぶ。

数ヶ月に一度、歯科で歯の掃除をしてもらう。たっぷり1時間はかかるし、寝ることもできないので、時間つぶしにマイベスト◯◯◯を選んでみる。今回は「B級SF映画」。B級じゃないSF映画は、すぐにベスト5ぐらいまでは選べるが、B級となると、ちょっと難しくな…

伊藤計劃「ハーモニー」

コンセプトはある。プロットも巧みだ。しかし物語の核心がない。 最初に言っておくと、この作者が書いた前作の「虐殺器官」は、自分の中で、ここ数年読んだ本の中で、最も重要な1冊であると思っている。読んでいるうちに、この作者の思考や狙いが、こわいほ…

ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」

そうか。もう30年も前に読んだ作品なんだ。大型書店で、復刊フェアで平積みしてあったのを見つけて再読してみようと、自宅の書棚を探したが、見つからず、やむなく再購入。読んでみると、やはり古さを感じるのはなぜだろう。クラークの「幼年期の終り」とか…

岡田斗司夫「世界征服は可能か」

『個人的に岡田斗司夫を読んでみよう企画第3弾」。自分は、この本の読者ではない。この本の読者は「ヤッターマン」「不思議の海のナディア」や「ドラゴンボール」「北斗の拳」とかのファンだった人。『SFや冒険物語には必ず世界征服を企む「悪の組織」が出…

機械じかけの鸚鵡

AR.Drone Parrotなる機械がやってきた。簡単に言うとラジコンヘリコプター。いままでのラジコンヘリと違う点は操縦をiPhoneで行うことである。「絶対買うだろうと思ってたよ」「そんなもん買うのは、あんたぐらいですよ。私の知ってる限り」などという意地悪…

岡田斗司夫「オタクはすでに死んでいる」

自分も時々オタクと呼ばれることがある。別に反論する程のことではないと思っているし、別に気にしたこともない。だから、これまで「オタクとは何か」とか「オタクの考察」とかにまったく興味が持てなかった。個人的に「岡田斗司夫を読んでみよう企画」第2…

柴田哲孝「GEQ」

かなり宿題的に読んだ「1Q84」「太陽を曵く馬」「仮想儀礼」が終わり、一段落。もう少し軽めのエンタテインメントを読んでみようと手に取ったのが、この作品。「GEQ」とはGreat EarthQuake---巨大地震のこと。作者は、「TENGU」「KAPPA」「RYU」という日…

J.H.コッブ「隠密部隊ファントムフォース」

軍事スリラーは大好きなジャンルである。中でも潜水艦もの、ステルス兵器もの、特殊部隊もの、スナイパーものは、書名にその言葉を見つけしだい手当たりしだい買ってしまう。自分はなぜか「卑怯な」戦い方に惹かれるようなのである。海中に、深く静かに潜航…

伊藤計劃「虐殺器官」

もう十数年前のことである。当時の写真週刊誌に、ボスニア紛争の写真が掲載されていた。カメラが捉えていたのは虐殺で犠牲になった「人間の骨」だった。記事には「憎悪のあまり、殺すだけでは足りず、肉を骨から削いだ。」とあった。思わず背筋が冷たくなっ…

ウィリアム・ホープ・ホジスンの本

昔、東宝の映画で「マタンゴ」という作品があった。小学生のころ、近所の映画館で確か怪獣映画と2本立てで観たのだが、これが大人向けのホラー映画で死ぬほどこわかった。豪華ヨットで航海に出た男女7人が嵐に遭って難破する。たどり着いた無人島は、カビ…

スタニスワフ・レム「砂漠の惑星」ハヤカワSF文庫

同じ本を2度読むことはほとんどないが、本書は、その例外とも言える1冊。高校か大学の頃、初めて読み、その後2度は読んでいる。数年前に、もう一度読みたいと思って本棚を探したが見つからず、絶版になっていて書店にもなく、ネットで古書を探してようや…

飛 浩隆「グラン・ヴァカンス--廃園の天使<1>」ハヤカワ文庫JA

かっこいいSFが読みたかったら、これしかない。 SFだが、その魅力はSFというジャンルを遙かに凌駕している。流麗でスタイリッシュ、審美的ともいえる文章。トリッキーで意表を突くストーリー。舞台は、仮想リゾート“数値海岸”の中の「夏の区界」。ゲス…

前島 賢「セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史」

「セカイ系」そんな言葉があるとは知らなかった。ただ「セカイ系」の代表とされる作品に新海 誠のアニメ「ほしのこえ」高橋しんのコミック「最終兵器彼女」にはハマッたことがある。本書の中にセカイ系の定義らしきことが書かれている。「作品の中に世界はあ…

吉岡 平「火星の土方歳三」

数年前、書店でタイトルを見て思わず吹き出してしまった。中年世代でE.R.バロウズの火星シリーズにハマッたSFファンなら、ニヤリとするはずだ。南北戦争のさなか、インディアンに追われた南軍兵士のジョン・カーターは逃げ込んだ洞窟で火星に瞬間移動す…

フランク・シェッツィング「深海のYrr」ハヤカワ文庫

過去3年に読んだSFの中では間違いなくベスト1。いわゆるSFというより、マイクル・クライトン的なハイテク・スリラーに近い。ノルウエイの海底でゴカイに似た生物がメタンハイドレートの層を掘り崩していることが発見される。このまま掘り進むと大陸棚…

藤崎慎吾「鯨の王」

大好きな海洋SFで久しぶりの作品。ベルヌ「海底2万マイル」 クラーク「海底牧場」など、作品はあまり多くない。 最近ではドイツのフランク・シェッツィング著 「深海のYrr」が久々のヒット。そのスケール、環境問題を 含む最新の海洋・深海事情、魅力的な…