生物

山崎広子「声のサイエンス あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか」

日本人の80%は自分の声が嫌い。 仕事柄、取材やインタビューなどで録音された自分の声を聴くことが時々あるが、そのたびに、ほとんど生理的と言ってもいいほど強い拒絶反応が起きる。「なんで自分の声は、こんなに薄っぺらで、フニャフニャしてて、貧相なん…

高城剛「不老超寿」

「ドローン」の次は「医療」かよ! 著者の高城剛にはいつも驚かされる。デジタルメディアのクリエイターとして活躍しているかと思ったら、突然、会社や財産をすべて処分して、世界中をLCCを駆使して移動する生活を送ったり、専用の炊飯器を持ち歩いて「発芽…

クリスティ・ウィルコックス「毒々生物の奇妙な進化」

ヘビこわい。すべての霊長類がヘビを怖れる。産まれて間もない赤ん坊もヘビをこわがるという。ほとんど生理的ともいえるような、あの恐怖感は、いったいどこから来るのだろう?その答は本書のなかに記されている。約6000万年前に、この爬虫類に起きた、ある…

丸山宗利「アリの巣をめぐる冒険 未踏の調査地は足下に」

著者は悪魔怪人。 前回エントリーの小松貴著「裏山の奇人」にも登場する悪魔怪人こと丸山宗利が本書の著者である。丸顔童顔の少年のような風貌の、どこが悪魔怪人なのか…。最近、著者による新書「昆虫はすごい」を読んだばかり。面白かった。また著者による…

小松貴「裏山の奇人 野にたゆたう博物学」

本書は東海大学出版部「フィールドの生物学」シリーズの第14弾。読むのが3冊目になるこのシリーズは、とにかく面白い。若い研究者による執筆のせいだろうか。難点は部数が少ないせいか、価格が高いこと。ソフトカバーで全巻2160円(税込)というのはちょっと…

細 将貴「右利きのヘビ仮説 追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化」

時々「ヘビの本」を読みたくなる。 大型書店に行く度に、時間があれば「サイエンス」のコーナーを必ずチェックするが、中でも「生物」のコーナーの「爬虫類」の棚で「ヘビ関連」の本を必ずといってよいほど探している自分がいる。ヘビの本が見つかると、目次…

吉野裕子「蛇 日本の蛇信仰」

「鏡餅」の由来を知っているだろうか? 一説には、穀物神である年神(歳神)へのお供えであり、三種の神器である、八咫鏡(やたのかがみ)を形どったと言われるが、明らかではない。 本書によると、大小の餅を重ねた、あの形は「トグロを巻いた蛇」を現して…

養老孟司/宮崎駿「虫眼とアニ眼」

映画「風立ちぬ」以降、宮崎駿の発言が気になって色々読んでいる。考えてみると宮崎駿作品は、ほとんど見ているが、巨匠の発言そのものを読もうとしたことはなかった。しかし引退宣言やNHKの番組で、巨匠の発言を聞いたりしていると、やはり面白い。雑誌CUT…

川上和人「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」

あなたは、ふだん「恐竜」の本を買うだろうか?よく立ち寄る書店の新刊コーナーで、ある日、あなたは「恐竜」に関する新しい本を目にする。著者の名前は知らない。価格は1974円。その本を手に取ってレジに持っていくだろうか?僕は買わない。「恐竜」のこと…

前野ウルド浩太郎「孤独なバッタが群れるとき サバクトビバッタの相変異と大発生」

久しぶりのサイエンスドキュメンタリー。本探しの参考にさせてもらっているサイトの一つにKinokuniya BOOKWEBの書評空間BOOKLOGの朱野帰子氏のブログがある。同ブログは、「いい本」というより「ちょっとヘンな本」を紹介してくれるのだが、中でも本書は「ヘ…

フランク・シェッツィング「深海のYrr」ハヤカワ文庫

過去3年に読んだSFの中では間違いなくベスト1。いわゆるSFというより、マイクル・クライトン的なハイテク・スリラーに近い。ノルウエイの海底でゴカイに似た生物がメタンハイドレートの層を掘り崩していることが発見される。このまま掘り進むと大陸棚…

藤崎慎吾「鯨の王」

大好きな海洋SFで久しぶりの作品。ベルヌ「海底2万マイル」 クラーク「海底牧場」など、作品はあまり多くない。 最近ではドイツのフランク・シェッツィング著 「深海のYrr」が久々のヒット。そのスケール、環境問題を 含む最新の海洋・深海事情、魅力的な…