地震

「春よ、来い」1995・2011

以前に井上陽水の「傘がない」のことを書いた。もう1曲、僕にとって特別な曲がある。松任谷由実の「春よ、来い」。この歌について書いてみたい。 1995年の阪神大震災だった。 時間が、1月17日の、あの瞬間で止まってしまったようだった。色彩が消え、音が消…

鎌田浩毅「西日本大震災に備えよ  日本列島大変動の時代」

異色の火山学者。 著者は、このところ頻発する火山噴火のせいか、時々テレビで見る火山学の先生。最初に見た時は、赤い革ジャンとスキンヘッドという異色の風貌が印象に残った。いつも読む地震学の研究者とは違う視点を期待して購入。タイトルの「西日本大震…

村井俊治「地震は必ず予測できる!」

メルマガ「週刊MEGA地震予測」の発行元「JESEA」顧問。 現在、僕が唯一有料で購読しているメルマガ「週刊MEGA地震予測」。著者は、このメルマガを発行しているJESEA(地震科学探査機構)の顧問である。著者は元々測量工学が専門の研究者で地震の研究者ではな…

早野龍五 糸井重里「知ろうとすること」

友人のIさんのtwitterのつぶやきで知った本。 東日本大震災の直後、様々な情報が錯綜する中で、発表されたデータを淡々と分析し、twitterで発表し続ける科学者がいた。原子物理学者、早野龍五。デマや憶測を含む不確かな情報が飛び交う中で、信頼できる情報…

田坂広志「官邸から見た原発事故の真実」

3.11以降、福島第一原発で何があったのか。そして東電や官邸はどのように動いたのか、その詳細が、未だ明らかになっていいない。しかも官邸内の議論の議事録が残されていなかったことが最近になって判明するなど、政府は当時の情報を隠蔽しようとしていると…

たくきよしみつ「裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす」

この本を、もう2カ月以上も鞄に入れて持ち歩いている。2度通読し、時間があればページを開いて読んでいる。そのせいで他の本が読めないでいる。感想を書こうとしたが、うまく書けない。書けない理由は、本書によって、今回の震災や原発事故に関して、これ…

和合亮一「詩の礫」

たぶん40年ぶりぐらいに詩集を買った。NHK BS「週刊ブックレビュー」のおすすめ本。著者は詩人。福島で生まれ、福島に住んでいる。震災の直後からTwitterでつぶやき始める。つぶやいた直後、全国から171人のフォローがあった。翌朝には550人、3日目の朝には…

小松左京「小松左京の大震災'95  この私たちの体験を風化させないために 」

SFファン失格。 自分は「SFファン」を自称している。小学校の高学年からSFを読み始め、中学、高校、大学と、人生の最も感じやすい(?)時期をSFを読みながら過ごした。そのせいで、自分の人格形成にSFが深く関わっていることは間違いない、と思っている。ま…

石井光太「遺体 震災、津波の果てに」

東日本大震災の報道を見ていて、何か大きな欠落があると、ずっと感じていた。死者/行方不明者合わせて約2万人という数字が、いったいどんな事態を表しているのか、自分は想像することができなかった。津波に破壊された町の風景。避難所の光景。破壊された…

古川 日出男「馬たちよ、それでも光は無垢で」

友人に借りた本。友人は本書を読み始めたが「すごくしんどい。先に読んで」という。読んでみた。なるほど…。詩を思わせる、美しい、不思議なタイトルに惹かれる。著者の作品を初めて読んだが、一言で言うと、言葉のコードが違うという感じ。だから読みにくい…

池澤夏樹「春を恨んだりしないーー震災をめぐって考えたこと」

120頁ほどの薄い本。小説家が震災や原発について書いた本が読みたいと思った。報道の言葉ではなく、ジャーナリストの言葉でもなく、小説家の言葉で、今度の震災を語って欲しかった。被災地の光景や空気、匂い、音、人々を描写してほしかった。著者は詩人で、…

佐野眞一「津波と原発」

なぜ著者が原発や震災の本を書いたのだろう?と一瞬思ったが、他の著作を思い出して納得。「東電OL殺人事件」“原子力の父”といわれた正力松太郎を描いた「巨怪伝」。「東電OL殺人事件」は面白かったが、著者の思い込みの強さ、ゴシップを執拗に追いかける姿…

中沢新一「日本の大転換」

中沢新一という人、よく読むし、好きなのだけど、ちょっと微妙なところもある。例えば「アースダイバー」という本は、東京の縄文時代の地図を頼りに、現代の東京を探検するという一種の紀行作品。かつて縄文人が聖地としたような場所は、いまでもお寺や神社…

広瀬隆「FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン」

著者には申し訳ないが、この十数年ほど、著者の本から遠ざかっている。「東京に原発を」や「危険な話」など、80年台にはよく読んだが、陰謀史観というのか、過激すぎる主張についていけなくなったというのが正直なところ。そのせいか、今度の「原発本いっき…

小出裕章「原発のウソ」

福島の原発事故をめぐる情報はいったいどれが正しいのだろう。震災発生直後から今に至るまで、東電や政府から出てくる情報が、ほとんど信用できなくなった。マスコミの報道で登場する専門家や学者たちの発言も、いまひとつ信用できない。何とか信頼できる情…

この3週間ほど原発の本ばかり読んでいる。

震災からちょうど1週間たった日のこと。東京で会社を経営する知人が事務所を訪ねてきた。彼は、震災の翌日から、社員十数人と家族を連れて、大阪に避難してきているという。ホテルに宿泊し、仮のオフィスを借りて、そこで1週間仕事をしていたという。明日…

三浦展「これからの日本のために『シェア』の話をしよう」

この本を読みはじめた時に、東日本大震災が起きた。 被災地の報道を目にして、言葉を失った。発生から2週間以上経過しても失語症状態は続いている。震災の報道を見ているだけで体調が悪くなったり、うつ状態になったりすることがあるという。阪神大震災の時…

柴田哲孝「GEQ」

かなり宿題的に読んだ「1Q84」「太陽を曵く馬」「仮想儀礼」が終わり、一段落。もう少し軽めのエンタテインメントを読んでみようと手に取ったのが、この作品。「GEQ」とはGreat EarthQuake---巨大地震のこと。作者は、「TENGU」「KAPPA」「RYU」という日…