2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹「辺境・近境 ノモンハンの鉄の墓場」

ノモンハン事件の3冊目は、村上春樹の紀行エッセイの中の一章。再読である。本書を選んだのは、僕らの世代に近い人が、ノモンハン事件に触れ、さらにあの戦場の現在を訪れて、何に、どう感じたか、ということを知りたかったからである。 「ねじまき鳥クロニ…

伊藤桂一「静かなノモンハン」

「ノモンハンの夏」とは対照的に、兵士の一人一人に寄り添うように書かれたノモンハンである。著者自身が中国北部で4年9ヶ月の軍務に就いている。小説家で詩人。本書で1984年、芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞を受賞している。もう新刊では買えず、ama…

半藤一利「ノモンハンの夏」

「ノモンハン? モンハン? ゲーム?」 ひと月ほど前にテレビを見ていて、椅子から転げ落ちそうになった。朝の報道番組で、若者に太平洋戦争や占領時代のことを知っているかをたずねる企画で、確か若い女性だと思うが、「マッカーサー? え? マッカートニー…

アンディ・ウィアー「火星の人」

面白いとは聞いていたけれど、600ページ近いボリュームと火星有人探査という平凡なテーマのせいで敬遠していた。2016年2月公開のリドリー・スコット監督「オデッセイ」の原作、ようやく購入。2日強でいっき読み。いや文句なしに面白かった。 古くて新しい…

村上春樹「職業としての小説家」

これはメイキング・オブ・ハルキワールドである。 あまりチャーミングとは言えない素っ気ないタイトル。思うところあって、即、購入。村上春樹は、デビュー以来、ずっと継続して読んできた。しかし、90年台半ばまでは、かなり批判的に読んできたと思う。その…