2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

吉野裕子「蛇 日本の蛇信仰」

「鏡餅」の由来を知っているだろうか? 一説には、穀物神である年神(歳神)へのお供えであり、三種の神器である、八咫鏡(やたのかがみ)を形どったと言われるが、明らかではない。 本書によると、大小の餅を重ねた、あの形は「トグロを巻いた蛇」を現して…

藤崎慎吾「深海大戦」

著者の前々作の「ハイドゥナン」は、深海テーマと海底遺跡、島の伝説、共感覚、海底地震など魅力的な要素を組み合わせた壮大なSFだった。前作の「鯨の王」はシロナガスクジラをはるかに越える巨体と知能を持った新種の鯨とのファーストコンタクト話で、まあ…

大田俊寛「現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇」

前書による混乱を収拾する? 前回のエントリーで書いた「オウム真理教の精神史」は、オウムの教義や世界観が、どこから来たのか?どのようにしてリアリティを持つようになったのかという問いかけから始まった本だった。そのために、著者は「宗教とは何か?」…

鈴木敏夫「ジブリの哲学 〜変わるものと変わらないもの〜」

またまたジブリ関連。本書を読んで、鈴木敏夫という人物について、わかったと思ったことがある。彼は「プロデューサー」というよりは「編集者」ではないか」ということ。本書の中で面白いのは、宮崎駿について書いた文章。それ以外の文章は、ロジカルで明快…

大田俊寛「オウム真理教の精神史  ロマン主義・全体主義・原理主義」

夏の間、読書日記が書けなかった理由の、もう一つが本書。本書を読んだ直後に、著者による、ほぼ同じテーマの新刊「現代オカルトの根源:霊性進化論の光と闇」が出版され、こちらのほうも合わせて読むことにした。この日記を始めて以来、最長の感想。うまく感…

養老孟司/宮崎駿「虫眼とアニ眼」

映画「風立ちぬ」以降、宮崎駿の発言が気になって色々読んでいる。考えてみると宮崎駿作品は、ほとんど見ているが、巨匠の発言そのものを読もうとしたことはなかった。しかし引退宣言やNHKの番組で、巨匠の発言を聞いたりしていると、やはり面白い。雑誌CUT…

藻谷浩介 NHK広島取材班「里山資本主義 日本経済は、『安心の原理』で動く」

本書を、7月に買い、8月に読み終え、感想を書こうと、いつも鞄に入れて持ち歩いていたら、10月になってしまった。2回は通読し、部分的には何度も読みかえした。おかげで本はヨレヨレ。先日、友人と食事をしていて、本書を鞄から取り出して、話をしていたら…