2013-01-01から1年間の記事一覧

映画「夢と狂気の王国」

「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」をレイトショーで観るつもりだったが、ちょっと時間が合わず、「夢と狂気の王国」を観ることにした。内容もほとんど知らず、監督の砂田麻美という女性のこともほとんど知らなかったので、あまり期待せず、退屈だ…

高畑勲「かぐや姫」

11月最後の土曜日、自宅にいちばん近い映画館である売布の「シネぴぴあ」で鑑賞。小さな劇場で、満員だったら困るので番号札をもらうために上映の20分前に行ったが、3番、4番だったので拍子抜け。半分以上の席が空いている。興行は意外と苦戦しているのか…

神戸マラソン2013完走記

グロスタイム:5時間17分32秒 ネットタイム:5時間13分02秒 神戸2回目。 今年で3回目の神戸マラソン。第1回、第2回とも抽選に当たったが、作年の2回目は、大阪マラソンと同日開催になったため、神戸のほうをを断念。3回目の今年は、別の日に開催となっ…

大阪マラソン2013完走記

10回目のフルマラソン。 マラソンを始めてから、ちょうど10回目のフルになる。10回の内訳は大阪3回、篠山3回、東京2回、神戸1回、総社1回。10回目にふさわしい大会にしたかったが…。 グループエントリーを諦める。 昨年はグループエントリーで4人で参…

吉野裕子「蛇 日本の蛇信仰」

「鏡餅」の由来を知っているだろうか? 一説には、穀物神である年神(歳神)へのお供えであり、三種の神器である、八咫鏡(やたのかがみ)を形どったと言われるが、明らかではない。 本書によると、大小の餅を重ねた、あの形は「トグロを巻いた蛇」を現して…

藤崎慎吾「深海大戦」

著者の前々作の「ハイドゥナン」は、深海テーマと海底遺跡、島の伝説、共感覚、海底地震など魅力的な要素を組み合わせた壮大なSFだった。前作の「鯨の王」はシロナガスクジラをはるかに越える巨体と知能を持った新種の鯨とのファーストコンタクト話で、まあ…

大田俊寛「現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇」

前書による混乱を収拾する? 前回のエントリーで書いた「オウム真理教の精神史」は、オウムの教義や世界観が、どこから来たのか?どのようにしてリアリティを持つようになったのかという問いかけから始まった本だった。そのために、著者は「宗教とは何か?」…

鈴木敏夫「ジブリの哲学 〜変わるものと変わらないもの〜」

またまたジブリ関連。本書を読んで、鈴木敏夫という人物について、わかったと思ったことがある。彼は「プロデューサー」というよりは「編集者」ではないか」ということ。本書の中で面白いのは、宮崎駿について書いた文章。それ以外の文章は、ロジカルで明快…

大田俊寛「オウム真理教の精神史  ロマン主義・全体主義・原理主義」

夏の間、読書日記が書けなかった理由の、もう一つが本書。本書を読んだ直後に、著者による、ほぼ同じテーマの新刊「現代オカルトの根源:霊性進化論の光と闇」が出版され、こちらのほうも合わせて読むことにした。この日記を始めて以来、最長の感想。うまく感…

養老孟司/宮崎駿「虫眼とアニ眼」

映画「風立ちぬ」以降、宮崎駿の発言が気になって色々読んでいる。考えてみると宮崎駿作品は、ほとんど見ているが、巨匠の発言そのものを読もうとしたことはなかった。しかし引退宣言やNHKの番組で、巨匠の発言を聞いたりしていると、やはり面白い。雑誌CUT…

藻谷浩介 NHK広島取材班「里山資本主義 日本経済は、『安心の原理』で動く」

本書を、7月に買い、8月に読み終え、感想を書こうと、いつも鞄に入れて持ち歩いていたら、10月になってしまった。2回は通読し、部分的には何度も読みかえした。おかげで本はヨレヨレ。先日、友人と食事をしていて、本書を鞄から取り出して、話をしていたら…

鈴木敏夫「風に吹かれて」

このところ巨匠に関する本をよく読んでいる。なぜだろう。今まで宮崎作品を観るだけで、その作者に興味が及ぶことはなかったのに…。今回の「風立ちぬ」のせいか、堀越二郎の本を読み、堀辰雄の「風立ちぬ」を読み、映画を観た後で、半藤一利との対談「腰ぬけ…

半藤一利 宮崎駿「腰ぬけ愛国談義」

8月になって、日記を一度も書いていない。本を読むペースはいつも通りなのだが、ちょっと手強い本に遭遇してしまい、感想を書きあぐねている内に、ひと月近くが過ぎてしまった。その本は「オウム真理教」についての本なのだが、感想をまとめるのは、もう少…

小野不由美「残穢」

怖すぎて、家に本を置いとけない。 友人のおすすめ。小野不由美の最高傑作かもしれないという。また「怖すぎて、家に本を置いとけない」とのこと。残穢:「ざんえ」と読む。僕自身は小野不由美ファンではない。スティーブンキング並の重厚な長編「屍鬼」を読…

宮崎駿「風立ちぬ」堀越二郎「零戦 その誕生と栄光の記録」堀辰雄「風立ちぬ」

アニメ「風立ちぬ」を見に行くかどうか…。映画館で4分あまりの予告編を見て、よさそうに思ったが、ちょっと悩ましい。宮崎駿の飛行機モノは個人的には厳しいものがある。「紅の豚」は見ていて恥ずかしくて、途中で席を立ちそうになった。飛行機モノ第二弾と…

高山貴久子「姫神の来歴 古代史を覆す国つ神の系譜」

古代史本をもう一冊。 前回エントリーの村井康彦「出雲と大和」と前後して読んだ。「出雲と大和」は歴史学者による古代史幻想紀行ともいえる本だったが、偶然、本書も、歴史の舞台を訪ね歩く古代史紀行のような構成となっている。著者は古代史には、まったく…

村井康彦「出雲と大和 古代国家の原像をたずねて」

日本という国の始まりに、大きな謎がある。古代史の本を読む楽しさは、この謎を解明する楽しさである。邪馬台国の謎、卑弥呼の謎、出雲神話の謎…。古代史の研究者のみでなく様々な人々がこの謎に挑戦してきた。作家、哲学者、多くのアマチュア研究者たち…。…

NHKスペシャル 未解決事件「file.03 尼崎連続殺人死体遺棄事件」

録画してあった番組を昨日ようやく視聴。番組を見始めてしばらくすると奇妙な感覚にとらわれた。事件が起きたマンション周辺の風景、商店街、一家を監禁したというアパート…。「杭瀬」という町の名前が出てきて、ようやく奇妙な感覚の理由がわかった。「杭瀬…

川上和人「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」

あなたは、ふだん「恐竜」の本を買うだろうか?よく立ち寄る書店の新刊コーナーで、ある日、あなたは「恐竜」に関する新しい本を目にする。著者の名前は知らない。価格は1974円。その本を手に取ってレジに持っていくだろうか?僕は買わない。「恐竜」のこと…

V.S.ラマチャンドラン「脳のなかのの天使」「脳のなかの幽霊」

本書を読んだ後、前々作「脳のなかの幽霊」をパラパラと拾い読みしていたら、何だか面白くなってきて、結局、全部読み通してしまった。異様にわかりやすくて面白かった前々作に比べると新作「脳のなかの天使」はちょっと後退。その一方で扱われているテーマ…

藤原新也 安倍龍太郎「神の島 沖ノ島」

九州、玄界灘のまん中に「沖ノ島」と呼ばれる小さな島がある。この島は、ふだん一般の人間の立ち入りは禁止され、女人禁制でもある。はるか古代から島全体がご神体とされ、島内の巨石群で祭祀が続けられてきた。祭祀の度に多くの宝物が奉納され、その数は十…

新庄耕「狭小住宅」

前回のエントリーのきっかけになったHさんのFBの投稿の中で触れられていた本書、読んでみることにした。話はシンプルだ。Hさんによると「不動産販売の営業マンになった若者の、売れない苦闘と、売れるようになった後の精神的退廃の物語」。主人公は入社から…

Hサんの返信への返信 村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の旅」

Hさんという人がFacebookに村上春樹の新作への感想を書いていたので、コメントを付けたら、彼のブログに長い返信が書かれてびっくり。http://water-planet-bungaku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16 その内容は彼のブログを読んでもらうことにして、その返信へ…

中沢新一 NHKカルチャー講座「アースダイバーと読み解く 大阪の記憶」

ナマの中沢新一の話を聞くのは2度目。前回は内田樹や釈徹宗とのシンポジウムだったので単独の講座は初めて。教室は満員。話は東京の「アースダイバー」から。「アースダイバーとは何か?」というところから語り始めるので本を読んでいる人間には最初は少々か…

ナレッジシアターこけら落とし公演「ロボット版銀河鉄道の夜」

4月にオープンしたグランフロント大阪の核施設「ナレッジキャピタル」内にある『ナレッジシアター」のこけら落とし公演。大阪大学のロボット演劇プロジェクトと吉本興行によるコラボ企画。作/演出は平田オリザ。登場するロボットはATRのロボビーR3。ロボビ…

舟越美夏「人はなぜ人を殺したのか ポル・ポト派、語る」

ジェノサイド、ホロコースト、民族浄化…、いわゆる「大虐殺」は、十数年前から自分の読書の重要なテーマであり続けている。本書は、カンボジアで200万人を死亡させたとされるポル・ポト派の最高幹部たちに直接インタビューを試みた本である。これまでポル・…

村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

いわくありげなタイトルと発売日のみの発表で、ここまで話題になるのだから凄い。店頭に大量に置かれた本書をレジに持っていくのは、少し恥ずかしい。本を買うのに、こんな気持ちを体験するのは珍しい。村上春樹の作品。かつては時代のトレンドをチェックす…

2013年大阪マラソン グループエントリー参加者募集

個人的な告知をします。去年に続き、2013年大阪マラソンのグループエントリー参加者募集します。 参加費は、個人だと10,000円で、グループだと4〜7名で98,000円(7名なら1人あたり14,000円)となり高くなりますが、当選の確率はかなり高くなると思われま…

前野ウルド浩太郎「孤独なバッタが群れるとき サバクトビバッタの相変異と大発生」

久しぶりのサイエンスドキュメンタリー。本探しの参考にさせてもらっているサイトの一つにKinokuniya BOOKWEBの書評空間BOOKLOGの朱野帰子氏のブログがある。同ブログは、「いい本」というより「ちょっとヘンな本」を紹介してくれるのだが、中でも本書は「ヘ…

グレゴリー・ベンフォード「輝く永遠への航海」

ロボットが人類に反乱を起こす「ロボポカリプス」を読んで「機械VS人間の戦い」を描いた作品をあれこれ思い描いているうちに読みたくなった作品がいくつかあった。その内の一冊が本書である。「夜の大海の中で」から始まる「機械生命VS有機生命」シリーズの…