ビジネス

隈研吾・清野由美「変われ!東京 自由で、ゆるくて、閉じない都市」

世の中、あっちもこっちもクマ、クマ、クマ!なんで? 2007年のサントリーミュージアムあたりからだろうか。根津美術館、歌舞伎座の改修、国立競技場、高輪ゲートウェイ駅、渋谷スクランブルスクエアなどなど・・・。東京における話題の建築は、隈研吾の一人…

新井紀子「AIに負けない子どもを育てる」

「A I ブーム本」っぽいが、内容は正反対。 前作の「AI vs 教科書が読めない子どもたち」と同じく「AIブームに乗っかって売らんかなの意図丸出し」のようなタイトルだが、中身は全然違っている。逆にAIブームの不毛さを警告するような内容である。そして何よ…

松本 創「軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い」

2005年4月25日、JR福知山線、宝塚駅9時4分発同志社前行き快速。 3年間の東京勤務を終え、予定通り4月から関西に戻っていれば、僕は、この電車に乗っていた。大阪で働いていた頃は、毎日、この電車に乗って通勤していた。宝塚が始発なので、必ず座ることがで…

桃田健史「EV新時代にトヨタは生き残れるのか」

自動車産業の動きが激しい。少し前から自動車関連の仕事に関わる機会があって、自動車産業のトレンドを継続的にウォッチしている。しかし、ここ1〜2年の自動車産業の動きは、激しすぎて、その全貌が見えない。特に本書に書かれているような「EVブーム」は…

NHKスペシャル「激変する世界ビジネス “脱炭素革命”の衝撃」

石油の国で、世界最大の太陽光発電所を建設。 冒頭から、いきなり衝撃が来る。世界でも有数の産油国であるアラブ首長国連邦のアブダビで建設が進む世界最大の太陽光発電所。太陽光パネル300万枚を使用し、原発1基に相当するというこの発電所から生まれる電力…

高城剛「不老超寿」

「ドローン」の次は「医療」かよ! 著者の高城剛にはいつも驚かされる。デジタルメディアのクリエイターとして活躍しているかと思ったら、突然、会社や財産をすべて処分して、世界中をLCCを駆使して移動する生活を送ったり、専用の炊飯器を持ち歩いて「発芽…

水野和夫「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」(新潮新書)

尊敬する友人、POPでロジカルでパワフルな頭脳の原さんのおすすめ。経済の本は、読み始めても途中で挫折することがほとんどだが、この本は、ほぼいっき読み。いやー、面白かった。なんか魔法みたいだ。概要をここに要約して、ちゃんと解説したいところだが、…

大西康之「東芝解体 電機メーカーが消える日」

僕のコピーライターとしてのキャリアの8割ぐらいは、家電メーカーの広告や販促、イベントに関わる仕事だった。そして後半は、通信大手の広告や販促にも関わった。今世紀に入ってからの仕事は、本書で描かれた電機メーカー凋落の時期と重なっている。その間…

阿古真理「小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代」

以前のエントリーで書いた「なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか」の著者による本。その後、著者の本を数冊読んだが、本書は、その中で最も面白かった著作である。「なぜ日本のフランスパンは〜」が、単なるグルメ本ではなく、食文化の変遷を通して…

池井戸潤「陸王」

著者の作品を初めて読んだ。「下町ロケット」は面白そうだったが、ベストセラーになり、映画やドラマになってしまうと、天邪鬼の虫が動いて敬遠していた。まずタイトルの「陸王」が目に飛び込んできた。今の人はほとんど誰も知らないと思うが、「陸王」は、…

佐伯啓思「さらば、資本主義」

本書を読むきっかけになったのは、以前のエントリーでも紹介したNHKスペシャル「新・映像の世紀 第2集 グレートファミリー 新たなる支配者」。その中で紹介されたケインズの言葉。以下引用。 「今、 我々がそのただ中にいるグローバルで、かつ個人主義的な…

宮本喜一「ロマンとソロバン-----マツダの技術と経営、その快走の秘密---」

11/19のエントリーでマツダの広告について書いたが、 マツダの「Be a driver.」キャンペーンに感じたこと。 - 読書日記 マツダに何が起きているのか、俄然、興味が湧いてきた。企業が外部から見えるほど変化している時、その内部では驚くほど大きな変化が進…

最近、キャッチフレーズを覚えている広告って、ある?

少し前に、コピーライターが集まって飲んでいる時に、誰かが「最近の広告で、キャッチフレーズを覚えている作品ってあるかな?」と言い出した。その場にいた全員が思い出そうとするのだけれど、なかなか出てこない。ようやく出てきたのがライザップの「結果…

渡邊恵太「融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論」

駅で偶然会ったデザイナー、M君のオススメ。今年の春にすでに購入ずみだったが、買ったことをすっかり忘れていた。本書のテーマは「インターフェイス・デザイン」。2年ほど前にスマホのアプリのUIをデザインする仕事に関わっていて、「フラットデザイン」「…

佐藤尚之『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法』

「明日の広告」「明日のコミュニケーション」に続く「明日の〜」シリーズ第3弾。広告が効かない。生活者とのコミュニケーションがますます難しくなっている。マス広告の終焉…。広告業界の人間にとっては、この十数年は、敗北と撤退の連続である。どこまで落…

平川克美「『消費』をやめる 銭湯経済のすすめ」

春企画の新開さんに紹介してもらった。出るべくして出てきた本。タイトルの「『消費』をやめる」とは過激だ。僕たちは、物心ついてからずっと、自分たちが消費者であると教えられてきた。それを疑いもしなかった。そんな僕たちにとって「消費をやめる」とい…

原田曜平「ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体」

「ヤンキーブーム」といえば、今はこちらを指すんだろうな。著者は博報堂ブランドデザイン 若者研究所のマーケティングアナリスト。2013年には消費しない若者たちの気質をとらえた「さとり世代」という著書を出版している。著者によると、かつての典型的な「…

新庄耕「狭小住宅」

前回のエントリーのきっかけになったHさんのFBの投稿の中で触れられていた本書、読んでみることにした。話はシンプルだ。Hさんによると「不動産販売の営業マンになった若者の、売れない苦闘と、売れるようになった後の精神的退廃の物語」。主人公は入社から…

クリス・アンダーソン「MAKERSー21世紀の産業革命が始まる」

Kindleで読みたかった。 「FREE」「ロングテール」に続く第3弾。Kindle版で読みたかったが、肝心のKindleが1月配達なので、紙の本を買う。Webやデジタルの世界で起きている潮流が、今度は製造業を変えていこうとしている。その変化を描いた本だ。ワクワク…

野嶋剛「銀輪の巨人 ジャイアント」

気がついたらジャイアント。 数年前に自転車に乗るようになってから、ジャイアントというブランドが目につくようになった。台湾のメーカーで、世界の自転車メーカーのトップを走る企業であるという。3月にびわ湖1周イベントに参加して以来、ロードバイクが…

佐藤尚之『明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法』

著者とは過去に何度か仕事を一緒にしたことがあり、現在も自分が勤める会社が一緒に仕事をさせていただいている。それにしても、ここ2年ほどの著者の活躍はただごとではない。鳩山首相との会食に始まり、震災以降の八面六臂の奮闘ぶりはソーシャルメディアの…

レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース「シェア」再読

この本は「2回以上読まないといけない」と思った。 この本を最初に読んだ時は大きな衝撃を受けた。http://d.hatena.ne.jp/nightlander/20110513/1305261517自分が、この1〜2年考え続けている問題のヒントが、この本の中にあると思った。しかも大震災以降…

子安大輔「ラー油とハイボール」

ラー油とハイボール。 どちらも飲食業界の最近のヒット商品である。この2つがなぜヒットしたか、あなたは説明できますか?私は説明できない。だから本書を購入。著者は博報堂勤務を経て、飲食業界に転身。飲食業界のプロデュースやコンサルティングに関わっ…

山崎亮「コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる」

知人のtwitterのつぶやきで知り、「情熱大陸」でも紹介された話題の人。本が出ている。こんな風に急に話題になる人の本は、あっという間に書店でもネット書店でもあっと言う間に売り切れになるので、すぐ買いに行かねばと、打合せの帰りに茶屋町のマルゼン&…

中沢明子・古市憲寿「遠足型消費の時代  なぜ妻はコストコに行きたがるのか」

デフレや不況でモノが売れなくなっている、というのは「お父さん」の世界の話。お父さんではない「女こども」の市場では、次々にヒットが生まれている。モノが売れないというのは、売る側の怠慢だ、という主張。例としてあげられているのが、IKEA、コストコ…

レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース「シェア」

三浦展「これからの日本のために『シェア』の話をしよう」に続く「シェア」の2冊目。2冊とも、自分にとって、とても重要な本になると思う。そして、ここ数年、考え続けている問題の答があると思った。しかし読んでいる途中は、かなり辛かったことも告白し…

山田順「出版大崩壊 電子書籍の罠」

出版中止?禁断の書? 帯の「某大手出版社が出版中止した禁断の書」というコピーで退いてしまったが、著者の経歴を見て、購入。著者は、光文社に入社し、雑誌「女性自身」の編集長も勤め、カッパブックスの編集者としても活躍したベテラン編集者。2010年、34…

三浦展「これからの日本のために『シェア』の話をしよう」

この本を読みはじめた時に、東日本大震災が起きた。 被災地の報道を目にして、言葉を失った。発生から2週間以上経過しても失語症状態は続いている。震災の報道を見ているだけで体調が悪くなったり、うつ状態になったりすることがあるという。阪神大震災の時…

佐々木俊尚 「キュレーションの時代」

この著者の本には随分影響を受けていると思う。本書は、「新聞・テレビが消滅する日」「電子書籍の衝撃」に継いで、メディアの未来を真正面から論じたメディア論である。前2作から著者の主張は一貫している。インターネットなど、デジタルメディアの発達と…

三浦展+SML「高円寺 東京新女子街」

高円寺が、時代とシンクロしているらしい。「下流社会」「シンプル族の反乱」などで知られる著者は、パルコのマーケティング情報誌「アクロス」の時代から自分にとって最も信頼できるトレンドウォッチャーだった。朝日新聞のインタビューの中で、本書を書い…