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中沢新一 NHKカルチャー講座「アースダイバーと読み解く 大阪の記憶」


ナマの中沢新一の話を聞くのは2度目。前回は内田樹釈徹宗とのシンポジウムだったので単独の講座は初めて。教室は満員。話は東京の「アースダイバー」から。「アースダイバーとは何か?」というところから語り始めるので本を読んでいる人間には最初は少々かったるい。縄文時代の地形が現代の東京の街づくりにも影響を及ぼしているという話を、東京タワーのある芝のあたりを中心に語って、すぐに大阪の話へ。東京と違って、そもそも大阪には陸がない。上町台地以外は、ほとんどが海の中だった…。そこに淀川と大和川が運んできた土砂で干潟や洲や島ができて海民が漂着して住み着いた。だから大阪には海民の文化が育まれた。本の「大阪アースダイバー」より話が端折られて、そのぶんわかりやすいが、いくぶんいかがわしい感じに聞こえてしまう。それでも本にはなかった話題も時々出てくる。講座の終盤は、大阪に数多くあったという広大な墓地群に触れ、「世界中を探しても、これだけ広大な墓地を中心に抱え込んだ都市は、大阪とカイロしかない。大阪には7つの巨大な墓地がある」「日本の芸能は全部死者が出てくる。能も、歌舞伎も。能の死者は陰々滅々。歌舞伎の死者は、目を剥いて明るい」「その内部に死者や敗者を抱え込んだ大阪という都市は、いまの時代、とても貴重な存在である」と結ぶ。世界中がグローバリズム新自由主義に席巻されている現代、大阪が育んできた文化は、とても貴重だ。という、ちょっとリップサービスにも聞こえる大阪礼賛は、大阪に暮らす自分たちには、面映い。「大阪アースダイバー」で、大阪人も見つけられなかった大阪の特色、魅力を掘り起こしてくれた著者のナマトーク。また機会がれば聞きたい。