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雑誌 考える人「村上春樹ロングインタビュー」

とてもよいインタビューだったので書いておこう。高原のホテルに2泊3日で滞在しながらのインタビュー。ボリュームがたっぷりで、読み終えるのにゆうに3時間はかかった。村上春樹自身が語る言葉をこんなに長く読んだのは初めての体験。彼の作品について、また、私が彼の作品について、なぜこんな反応をするのかについて「なるほどそうだったのか」と納得できるところがあった。面白いと思ったのは、関西生まれの村上春樹が東京に出て、標準語を「第二外国語」のように感じたこと。その「第二外国語」で小説が書けるんじゃないか、と思って最初の作品を書き始めたこと…。あの文体に対する違和感は「第二外国語を読まされる違和感だったのか…。また「1Q84」についても、阪神大震災地下鉄サリン事件から、「神の子どもたちはみな踊る」「アンダーグラウンド」「約束された場所で」「アフターダーク」につながる作品であることが作者自身の言葉で語られるのは、とても興味深い。「1Q84」について語っている部分で面白かったのは、作者自身が作品の中に出てくる謎をすべて理解していないということ。例えばリトルピープルが何者なのか、作者自身にとっても謎であるということ。作家は作品世界を支配する「神の視点」ではなく、あくまで登場人物の視点からしか作品世界を語ることしかできないということ。これらの言葉を読むと、私自身の「1Q84」の読み方は、概ね間違っていないと、感じた。村上春樹が語る他の作家たちの話も面白い。ヴォネガットや、ブローティガンフィッツジェラルドサリンジャー、カーヴァー、カポーティーなど、アメリカの作家はもちろん、漱石や谷崎、第三の新人小島信夫吉行淳之介安岡章太郎まで、村上春樹という作家の関心の広さと深さには驚かされる。インタビューを読み終えて、村上春樹という作家に、さらに親しみがもてるようになった。村上ファンなら作品以上に楽しめる。おすすめのインタビューだ。