ファンタジー

松本 創「軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い」

2005年4月25日、JR福知山線、宝塚駅9時4分発同志社前行き快速。 3年間の東京勤務を終え、予定通り4月から関西に戻っていれば、僕は、この電車に乗っていた。大阪で働いていた頃は、毎日、この電車に乗って通勤していた。宝塚が始発なので、必ず座ることがで…

有栖川有栖「幻坂」

ちょっと寄り道読書。昨年3月に散策した天王寺七坂を題材にした短編集ということで購入。著者の作品を読むのは初めて。「大阪ほんま本大賞」というのがあるそうで、『大阪の本屋と問屋が選んだ、ほんまに読んでほしい本』ということらしい。本書は、2017年…

新海誠「君の名は。」

雲を描く人 新海誠の作品は「雲のむこう、約束の場所」から観るようになった。「雲の〜」は東京勤務時代、渋谷の小さな小さな劇場で観た。「雲」のディテールをここまで克明に描いたアニメに初めて出会った。実は僕自身が子どもの頃から「雲」を眺めるのが大…

ウィリアム・ホープ・ホジスン「グレンキャリグ号のボート」

個人的な趣味の本の話。翻訳されるのを、40年近く、待ちに待って、待って、待ちくたびれて、諦めてしまっていた作品。英国の怪奇小説作家ウィリアム・ホープ・ホジスン(1877〜1918)の、ボーダーランド三部作と呼ばれる長編シリーズのひとつ。ナイトランド叢…

ウィリアム・ホープ・ホジスン「幽霊海賊」

翻訳を待ち望んで、30年以上。 個人的に30年以上翻訳を待ち望んでいた作品。百年以上前の古い作品だし、人に勧めるような本ではないが、とても嬉しかったので、感想を書くことにする。ホジスンの名を知る人は少ないと思う。1963年、東宝で「マタンゴ」という…

宮部みゆき「荒神」

2013年3月から2014年3月まで朝日新聞に連載していた新聞小説。毎日コマ切れに読まされる新聞小説は好きではないが、本書は連載中から気になっていて、発売と同時に購入。不思議なことに宮部みゆきの小説を読むのは本書が初めて。著者の作品が別に嫌いという…

万城目学「偉大なるしゅららぼん」

京都、奈良、大阪の次は、滋賀だ。滋賀というか、近江は、マイ古代史ブームの中で、かなり重要なポジションを占めているので、期待して読んだ。著者の作品は、「学園もの」プラス「伝奇的ファンタジー」である。軽妙な語り口で描かれる学園生活の中に、古代…

桜庭一樹『「伏」贋作・里見八犬伝』

2日で読了。退屈しなかったが、もの足りない。 NHKBSの「週刊ブックレビュー」の特集コーナーで紹介されていた作品。江戸の町に「伏」と呼ばれる化物が出没し、残虐の限りをつくし、江戸の人々を悩ませていた。伏の首には賞金がかけられている。そこに剣術…

ウィリアム・ホープ・ホジスンの本

昔、東宝の映画で「マタンゴ」という作品があった。小学生のころ、近所の映画館で確か怪獣映画と2本立てで観たのだが、これが大人向けのホラー映画で死ぬほどこわかった。豪華ヨットで航海に出た男女7人が嵐に遭って難破する。たどり着いた無人島は、カビ…