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「松丸本舗」初探訪

東京出張の帰り、新幹線を1時間遅い便に変更し、念願の初探訪。丸の内オアゾ内、丸善本店4Fの一画を占める書店内書店。思ったほど広くない。しかし一歩足を踏み入れると、そこは書店というよりも個人の書斎か書庫を思わせる空間だ。人の匂いと体温が濃密に息づいている。松岡正剛という「知の巨人」の書棚を覗き見るような戦慄と高揚を覚える。そこに置かれた本は、普通の書店に並べられた本よりも、生気にあふれ、強い存在感を放っている。一冊の本は、必ず周囲の本とつながり、無限の連鎖を創りだしていく。壮大な知の体系といってもいい。書店というより、巨大で精緻な生態系を探検しているような気分になる。都心のオフィス街のど真ん中に、このような小宇宙が出現し、存続していること自体が奇跡のように思える。1時間ほど歩きまわったが、いっこうに全貌が見えてこない。どのような分類や体系になっているのかが頭に入って来ない。ただただ膨大な知の集積に圧倒されるのみで、購入する1冊の本を特定するまでに至らなかった。結局、あきらめて2Fと1Fで新刊を数冊購入。しっぽを巻いて退散した形である。松岡正剛は、20代の頃、ニューウエイブSFの専門誌「NW-SF」に連載していたエッセイ「スーパーマーケット セイゴオ」以来、ずっと読み続けている人だが、いつも読む度に、その知恵の深さと広さに圧倒され続けている。今回は、たまたま空いた時間の訪問で心構えが充分できていなかったが、次回は気持ちを引き締めて再挑戦したい。
不透明な電子書籍ビジネス、出版ビジネスの衰退。消えてゆく街の書店…。本の未来の鍵を握るのは、このような「個人の書棚のような書店」かもしれない。