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Night Runner

帰宅ラン計画

普段は土日しか走らないので、どうしても練習量が足りなくなる。ランニングの本によると「練習を3日間空けるな」とも言われている。そこで平日に走ろうと思うのだが、なかなか時間がとれない。そこで考えたのが「帰宅ランニング」である。知人のランナーで、大阪市内から宝塚まで走って帰ることで月間の練習量を確保している人の話を聞いたことがあるので、それを参考にした。いきなり大阪〜宝塚は難しそうなので、阪神電車武庫川駅かJRの甲子園口駅から宝塚までの10キロ前後を走ることにした。
走行開始。
仕事を8時過ぎに終え、ランニングウエアに着替えて会社を出る。ウエアは、防寒仕様のハーフジップのシャツと防寒パンツ。電車に乗っている間の防寒用のソフトシェルジャケット。シューズはミズノ。モンベルのフリース手袋。ウエストバッグとランニング用の小さなリュック。帽子に取り付けるヘッドランプを用意した。梅田から阪神電車の急行に乗ると、野田、尼崎の次が武庫川で10分余りで到着。武庫川の河川敷に出ようとして道がわからず、しばしうろうろする。陸橋を通って、さらに阪神電車の下をくぐり、土手上の道路へ。クルマの往来がけっこう多い。ガードレールの切れたところに河川敷に降りる階段がある。駅の通路がすぐ上を通っているのと、土手の上走るをクルマのライトでけっこう明るい。防寒のソフトシェルジャケットをリュックにしまい、ヘッドランプを帽子に取り付けて、走り始める。前日と当日、雨が降ったこともあり、舗装されたサイクリングコースを走ることにする。
意外に人がいる。
犬を散歩させている人に出会う。夜なのにサッカーの練習をしている人など、思った以上に人がいる。しばらく走ると前方から自転車が近づいてきた。ランナーともすれ違う。土手上の街灯やヘッドライトで明るいところはいいが、明かりが途切れると真っ暗になり、ヘッドランプの明かりでは心もとない。しばらく走って国道2号線をくぐる。気温が急速に下がってきて、風も出てきた。雪がチラチラ舞い始めた。体温は上がっているはずだが、かなり寒くて、しまっていたジャケットを着る。土のランニングコースのほうをランナーが追い越していく。速い。ライトも持たず闇の中をぐんぐん遠ざかっていく。JR、山手幹線をくぐる。雪が強くなった。空を見上げると晴れ間に星が見えている。ヘッドランプの光量が少なく、3m以上先を照らすと、路面の凹凸がよく見えない。路面の段差に気づかず、2度ほどつまづいた。
墓地のそばを走る。
国道171号線、新幹線をくぐると、田近野という、コース中最も寂しい場所を通る。仁川を渡ると、土手の上に大きな墓地がある。昼間は何ともないが、夜、人通りのない時間、墓地のそばを独りで走るのは、かなりの勇気が要る。ここまで8人のランナーと8台の自転車に会ったが、ここから先、5キロを走って、誰にも出会わなかった。墓地を避けて住宅街を走ることも考えたが、今日は試走でもあるので、墓地の横を走ることにする。墓地の手前から風が強くなり、気温が急に下がってきた。人の気配も遠ざかり、背中がぞくっとする。しばらく走ると人が歌っているような声が川のほうから聞こえてくる。「オイオイ、こんなところで、やめろよな」と身構えかけて、思い出した。昼間走っている時、この辺りの水辺でブルーシートハウスがあり、ハウスの中から時々大音量の音楽が聴こえていた。夜中で人気(ひとけ)も無いので、大音量で音楽を慣らしている。カラオケを歌っているのかもしれない。夜中に墓地のすぐ側に住んでいるとは、太い奴だ。この音楽で、少し安心する。それにしても人がいない。クルマの通る道路は遠ざかり、住宅も少ないエリアだから、本当に寂しい。誰かに襲われたら、助けを呼んでも、誰も来てくれないだろうな。土手の上に上がると街灯もあるのだが、今日は試走だからと、河川敷コースを走り続けることにする。土手の上が住宅街になり、少し安心する。パチンコ店の駐車場の明るすぎる照明も、今日ばかりはうれしい。ヘッドランプが2〜3mの範囲しか照らさないせいか、ペースが上がらない。走り出して1時間あまり、宝塚市役所前に到着。ここから河川敷を離れ、橋を渡り、自宅までの数百メートルを走る。いつもの自動販売機でスポーツドリンクを買い、自宅に到着。家人には走って帰るとは知らせていなかった。
今後の課題
家に入ってランナー姿を見た家人は、目を丸くした。「走って、帰ってきた」というと「馬っ鹿じゃないの、どこから」。武庫川の河川敷を走ってきたとは言えず、「甲子園から中津浜線を走ってきた」と嘘をついた。このコースも、帰宅コースのひとつとして考えていたのである。すぐ風呂に入って、録画していた番組を1本見て、就寝。初の帰宅ランは、無事修了。課題はいくつかある。道具としては、ヘッドランプの光量不足。コースも、河川敷ではない、もっと人通りの多い道を通るコースに変更すべきである等々。