雨・フル・マラソン、完走。第35回篠山ABCマラソン完走記

 

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42.195kmぜんぶ雨。

マラソンに参加して雨に遭遇したことは何度かある。しかし、今回のように42.195kmの全行程が雨というのは初めて。それも途中何度かけっこう強く降る時があり、辛いレースになった。最後は凍えた。装備など、反省点も多かった。

練習。昨年のリベンジとサブ4狙い。

昨年は直前の原因不明の高熱がたたり、36km過ぎの関門閉鎖に数秒差で間に合わず、無念のリタイア。今回は、そのリベンジでもある。さらに昨年の大阪マラソンが不本意な記録に終わったので、今度こそサブ4を狙ったのだが…。土日だけだった練習を週3回に増やし、走りこみを続けて、10kmを50分台で走れるところまでこぎつけたが、年が明けてからは、仕事その他で週3ペースを守れず。2月に入ってからは仕事が忙しくなり週1回しか走れない週が続いた。しかも、昨年とほぼ同じタイミングで原因不明の高熱が発生。2日ほどベッドから出られなかった。医者は、昨年とほぼ同じ時期に発症したことから、花粉症を疑った。昨年は3日ほど高熱が続き、顔のむくみが1週間以上続いたが、今年は、高熱のみで、2日目の午後には平熱に戻ったので、それほど影響はないと思われる。ただ週間天気予報では雨のマークが消えず、天候だけが心配だった。週の前半には「曇時々雨」だった予報が、後半になるにつれ、「雨」のみに変わっていった。2010年の篠山でも雨に苦しめられたが、今年はもっと過酷そうだ。妻は、前日から、「ぜったい風邪引くからやめたほうがいい。私は応援に行かないからね」と主張。確かに全行程が雨なんて経験したことがない。今回は、本格的な雨対策をしていくべきかもしれない。

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当日朝、雨。

今回から当日の手続きが不要になった。昨年までは、当日の朝に受付を行い、ゼッケンを受け取っていたが、今年はゼッケンとシューズ用電子タグを約1カ月前に送付してきた。つまり当日は、スタート時のランナー集合時間に集まればいいわけだ。自分たちのスタートは10:50で、ランナー集合が10:00〜10:30なので、着替えなどを含めても、9時に現地入りすれば間に合う計算だ。しかし、クルマで行くことを考えると、遅く着くほど会場から遠い駐車場に止めなければならないから、ある程度は早く出発したほうがいいかもしれない。未明に、雨が窓を打つ音が聞えてくる。午前5:30起床。6:30に出発しようと思っていたが、用意に手間取り、6:50に出発。朝からしっかり雨だ。高速道路は空いていて、丹南篠山口の出口の渋滞もなく、スムーズに篠山市街地へ向かう。昨年と同じ駐車場に着いたのが、7:40。まだ数台ぶん余裕があった。あと30分遅ければ、この駐車場に入れなかっただろう。時間が充分あるので、会場の下見と記念Tシャツの交換に行く。会場の広場は未舗装なのでぬかるんでいる。少し歩くだけで、靴に水が染みこんできて、冷たい。テントでぜんざいを売っていたので、食べる。荷物預かり所の場所などを確認して、クルマに戻る。

雨のフル・装備。

一日中雨。しかも所によっては強い雨が降るらしい。午後から風が強くなるとの予報。2010年の時は部分的に雨だったが、風が加わって、とても寒い思いをした。今回は全行程が雨なので、本格的な雨対策が必要かも。といっても、雨用のビニールカッパか、マラソン用の簡易ポンチョぐらいしかない。2010年の時、90cm×100cmの透明ゴミ袋に首と手の3箇所に穴を開けた自家製カッパで、とても暖かったことを思い出して、今回もそれで行くことにする。屋久島に行った時に買ったゴアテックスの帽子を被ることにする。手袋もコンビニで買ったニットのスマホ対応手袋から雨に強そうなネオプレーン製に変更。後は普段と同じ装備だ。2008年の東京マラソン以来、着続けているワコールCWXの厚めのトップにメッシュ生地のアンダー。ボトムはこれも2008年以来のミズノの防寒タイツに、膝丈のパンツを履く。シューズは昨年の大阪マラソンでも履いたAddidasのJAPAN BOOSTがギリギリ使えそう。前後振り分けのウエストバッグには、ティッシュペーパー2個とジェル型のサプリを3本。塩アメを5つ。サンプルでもらったエアサロンパス1本。時計はGARMIN101とセイコー。iPhone6はビニール袋に収めてホルダーに入れ、ウエストバッグに吊り下げた。今回で初めて用意したのが、各関門の通過時間を記したメモ。iPhone の裏に貼り付けてある。

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スタート。雨。

クルマに戻って着替えを済ませる。トイレにも2回行く。9時45分に着替えなどを入れたリュックを背負い、折り畳み傘をさして会場へ向かう。荷物預かり所のテントで防寒着を脱ぎ、自家製簡易カッパを被り、荷物を預けて、スタート地点へ向かう。今年はCブロックで出発だ。雨は降り続いている。自家製簡易カッパから首だけを出して、手は中に入れたままスタートを待つ。ヒマなので周囲のランナーの雨対策を観察する。一番多いのがランニング用品店で売っているビニールポンチョ。次がコンビニなどでも買える丈の長いビニールレインコートやカッパの上下。あまり防水効果のなさそうなウィンドブレーカー。雨対策をまったくしてない人も少なくない。そしてやはり多いのが自分と同じようなビニール袋活用派。真っ黒の、いかにもゴミ袋、スポーツショップのショッピングバッグ、明らかに自治体指定のゴミ出し用ゴミ袋…。しかし、共通していえるのは軽装で、本格的な雨対策の人はほとんどいない。1人だけシューズにビニール袋を被せているランナーがいた。効果があるんだろうか?そうしている間に開会式も終わり、登録ランナーがスタートする。その10分後10:50に未登録の僕たちがスタートする。号砲が鳴ってから、スタートラインを通過するまでに4分ほど経過していた。

最初の15km、雨。

両手を簡易カッパの中に入れたまま走る。大きなビニール袋なので、袋の中で腕振りができるのがメリット。最初の15kmまでは何度も角を曲がるため、自分がどの方向に進んでいるのかがわからなくなる。どんどん抜かれていく。5km過ぎから手をカッパから出して走り始める。1km6分〜6分10秒台を維持。簡易カッパのせいか、寒くはない。6.8kmの関門を14分の余裕で通過。東向きのコースへ出て、しばらく走ると15km。

山沿いの道、雨。

コースは北寄りの山沿いの道へ。18.2kmの関門を15分の余裕で通過。ここからコースでいちばんアップダウンのきつい部分に差し掛かる。足にはまだ余裕がある。コース上のあちこちにできた水たまりがクセ者だ。水たまりに入ると、シューズの中に水が入ってきて、いっきに重くなる。それだけではなく、冷たさで、足元から体温が奪われていく。シューズに入った水が抜けるまで、2〜3分がかかる。できるだけ、水たまりを避けながら走るように心がけた。20km過ぎから足に違和感を感じる。ちょっと重い。去年は、10 km付近で、この症状が出てきたので、今年はちょっとましか。24.1kmの関門を15分の余裕で通過。関門通過の余裕が18.2kmの時と変わらない。

コース最悪の5km。雨。

25km地点の手前で、道は山の中へ入っていき、30.6kmの折り返しポイントに向かう。ここで折り返してきたランナーたちとすれ違う。これから先のの約5kmは、個人的にはコース最悪の区間だ。道は、折り返しポイントに向かってダラダラと登っていく。しかも見通しがよく、山すそを縫うようにはるか向こうまで続くランナーの列が見えて、まだ、あんなに遠くまで行くのか、と、うんざりする。しばらく走ると、前方に見覚えのあるシルエットのランナーに追いついた。横顔を見るとP社のWさんだ。「Wさん」と呼びかけて、しばらく並走する。Wさん:「どうですか?」僕:「きついです」Wさん:「ヒザをやられました」僕:「無理をせずに頑張ってください」という会話を交わして先に行く。知り合いと会ったことで、少し元気が出た。しばらくして風が出てきた。体感温度がぐっと下がる。雨は断続的に強くなる。ランナーたちのカッパが風にはためく。カッパの外に出ている腕と手がかじかんでくる。手をカッパの中に入れて、しばらく走る。折り返してきたランナーが、「もうちょっとで折り返したら追い風になるから、ガンバレ」と励ましてくれる。ここに来るまでに、救護テントで、保温用アルミシートに身をくるんで休んでいるランナーを何人か見かけた。低体温症だろうか。また、どこかは覚えていないが、道の側で心臓マッサージを受けているランナーもいた。冬の冷たい雨のマラソンは過酷なのかもしれない。ようやく、ほんとうにようやく折り返しポイントに到達。30.6kmの関門も、やはり15分の余裕で通過。ここからしばらくはゆるやかに下る一方で、少しだけ楽になる。35km過ぎからのラストスパートの前の小休止といったところ。シシ汁のコーナーもあるが、今年はパス。ジェルのサプリメントの蓋を開けようとするが、指先が感覚がなくうまく開けられない。往路をやってくるWさんを探しながら走るが見つけられない。しばらく走ると、往路を行くランナーの後ろからスタッフカーがやってきて、30km過ぎの関門が閉鎖されたことを告げていた。

36.3kmの関門通過。雨。

去年はわずか10秒たらずで関門閉鎖に間に合わなかった36.3kmの関門を、やはり15分の余裕で通過する。ゴールの関門は16時なので、残り6km足らずを1時間5分以内に走ればよいから楽勝だ。関門の先で立ち止まり、ストレッチで身体をほぐして、サプリメントを補給して、走り始めた。先ほどから手の感覚と足の感覚がまるでないが、簡易カッパのせいで、体幹は冷えていない。何とか身体は動いてくれる。「疲れた時はリズム」と言い聞かせて、一定のリズムを刻むことに集中する。ペースが落ちているせいか、1kmがとても長く感じる。コースの左側に篠山川が見えてくると最後の5kmだ。風景が単調だと距離が長く感じる。いつものように普段の練習コースを思い浮かべながら「ほら仁川を渡った」「もう田近野の公団住宅を過ぎた」「クリーンセンターをすぎたら、残り2km」と動かない身体をだましだましながら走る。前方に篠山城址を示す標識が見えてきた。交差点を曲がり、お城のほうへ向かう。堀端の道へ出て、左に折れるとゴールのゲートが見えてくる。最後のストレートで二人を抜き、ゴールへ飛び込む。結局、最後まで自家製ビニールカッパを着たままゴール。左手のGARMINの計測を止めようとするが、指がかじかんで感覚がなくSTOPボタンが押せない。何とか押すことができた。完走メダルをかけてもらい、シューズのタグを外してもらう。水のペットボトルを受け取ろうとするが、指が動かず、両手で何とか受け取る。

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ゴール後、ふるえる。雨。

立ち止まると寒さが襲ってきて、身体がふるえる。荷物預かりのテントに向かい、リュックを受け取る。iPhoneのアプリを止めなきゃと思い、取り出すと、計測が24kmで止まっていた。リュックから折りたたみ傘を取り出し、更衣室のほうへ向かう。雨のためか、どこも凄い混雑だ。ようやく空き場所を見つけて着替えを始める。手袋も靴下も脱ぐことすら難しい。のろのろと着替えを済ませたが、シューズはクルマに置いてきたので、裸足に濡れたシューズのまま、クルマへ向かう。スタートとゴールで走った堀端の道を通って駐車場へ向かう。4時の関門閉鎖も終わり、交通規制も解かれている。クルマに戻り、エンジンをかけ、靴を履き替え、出発したのがちょうど5時ぐらい。この頃になって、ようやく雨脚が弱くなってきた。渋滞もあまりなく、1時間ほどで宝塚に到着。片付けを済ませ、風呂に入って、7時半。今日、行なわれた琵琶湖マラソンの録画を見ながら夕飯。ゴールの頃には眠たくなっていた。しかしベッドに入ると全身が痛くて、なかなか眠れなかった。それでもいったん眠りにつくと、朝まで目覚めなかった。翌日ランナーズ・アップデートで調べるとWさんは無事に完走していた。おつかれさま。

 雨のフルマラソンを舐めてはいけない。

家人は、前日の夜まで「止めたほうがいいんじゃない」と言い続けていた。普通、マラソンに「雨天中止」とか「雨天延期」とかはありえない。台風や集中豪雨や大雪でもない限り決行である。しかし家人の言うことにも一理ある。「普段の練習の時は雨が降ったら、走らないじゃない。本番だから雨でも走るというのはヘン。冬の冷たい雨の中を5時間近く走るなんて正気の沙汰ではない。風邪でも引いたらどうするの。歳を考えなさい」ということになる。しかし、天候も含めた条件の中でいかに走るかというのもマラソンの醍醐味なのだと思うが…。春から秋までの季節は、雨が降ってもマラソンそのものに、そんなに影響はないと思う。雨が得意というランナーもいるくらいだ。問題は冬の雨。今回、実際に走ってみて、冬の雨は別物だと感じた。もちろん、今回出場したほとんどのランナーは、大した雨対策もせずに、大きなトラブルもなく完走できたことだろう。みんなの雨対策といえば、雨用の簡易ポンチョや、コンビニで数百円で売っていそうなカッパ、ゴミ袋やビニール製ショッピング袋などなど…。晴れの時とまったく同じであろうランナーも少なくなかった。走っている間、ランナーの体温は上昇し、身体が冷えるの上回っている。しかし雨や風などによる寒さがひどくなると、熱を奪われ、体温が低下していくのだ。箱根駅伝のようなトップアスリートが参加する大会でも「低体温症」が発生するのだ。ましてや練習不足の市民ランナーなら、もっとリスクは高くなるといってもよい。実際、今回は、救護テントでアルミシートに包まれて休んでいるランナーを何人も見かけた。これまで十数回フルマラソンに参加しているが、そんな場面に出くわしたことはなかった。冬の雨のマラソンを甘くみてははいけないのだろう。次に今回のような雨フルマラソンに参加する時のために、きちんんと雨対策を考えておこうと思う。ビニール製の簡易カッパと防水手袋、防水シューズの3点セットが基本。

冬の雨フルマラソン対策。

ビニール袋製ポンチョ(簡易カッパ)。

スポーツ用品店などで数百円で売っている使い捨てのビニール製・簡易ポンチョ。寒い日のマラソンのスタートまでの待ち時間や、ちょっとした雨のためのものだ。しかし、その効果は絶大だ。また、ゴミ捨て用の大型の透明ビニール袋を利用して、自分で作ることができる。最近増えてきた自治体専用の半透明ゴミ袋は、ゼッケンが見えにくく、写真サービスのゼッケン番号検索で探せないので要注意だ。袋のサイズは幅80cm×高さ90cmサイズがおすすめ。今回使用した幅90cm×高さ100cmだと、袋から手を出さずに腕を降ることができるので、腕や手が冷えてきた時に暖を取るのに有効。小さくたためるので、雨がやんだ時、ウエストバッグやポケットにしまっておき、雨が降り出せば、再び着ることができる。欠点は、首の開口部から雨が入ってきてしまうこと。ゴール後、着替えた時に、ウェア全部が雨でぐっしょり状態だった。コンビニなどで売っているビニール製レインコートは、傍目に見ると走りにくそうだった。暑くなるのか、みんな前のボタンを開けて走っていた。理想を言えば、上記のビニール・ポンチョの薄さで、フードと袖が付いているとベスト。

防水手袋。

今回、装着した手袋は防水ではなく、まったく役に立たなかった。雨をたっぷり吸い込んで、風に当たると、急激に冷たくなり、指先がかじかんだ。ゴアテックス製などの防水性能が高いもの。トレラン用とかでありそう。できれば装着したままスマホが操作できるタッチパネル対応がよい。

防水シューズ。

一般のランニングシューズは、換気重視で防水対策はまったく考えられていない。今回、水たまりを踏む度に、水がシューズ内に浸入してきて、急に重くなり、足が冷えた。また足裏と靴の間に水が入り込んでタップンタップン音がして不快。その水が抜けるまで、数分を要した。足がふやけて膨張したせいか、ゴール後、靴下が両足とも指先に穴があいていた。1〜2cmの水たまりに飛び込んでも、水が浸入しないもの、軽めのトレラン用シューズであるかもしれない。ひょっとしたら、もっと水はけ重視のシューズ(沢登り用とか、ヨットなどのデッキシューズとか?)であれば、よかったかもしれない。靴下は薄めの速乾仕様が快適だ。

防水帽子。

10年以上前、屋久島の屋久杉トレッキングツアーに行くためにレインウェアと一緒に購入したゴアテックスのキャップ。モンベル製。これは大正解だった。山用やトレラン用でありそう。