藤沢周平「花のあと」

気がつくと映画が終わりかけている。藤沢周平は9割ぐらいは読んでいると思うが、時々短編集で読み漏らした作品があって、映画化されて初めて知るということが時々起こる。「花のあと」も、そんな一冊。表題作は剣の腕が立つ武家の女性の物語。藤沢周平らしい静かな語り口で物語が水のように進んでいく。クライマックスは剣の一刺し。「秘剣シリーズ」を思わせる展開だ。わき役たちも存在感があって魅力的。短編でありながら藤沢小説の美味しさがすべて入った名作。映画もよさそうだが、主人公の以登役の北川景子がきれいすぎるかな。原作では「目尻が吊り上がっていて口が大きい」という設定。