姫路城マラソン完走記(京都マラソン棄権)

 

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よりによって、こんな時に!初の京都マラソン一週間前、インフルエンザ発症!

大阪は5度、神戸は3度当選していたが、同時期に始まった京都は一度も当選したことがなかった。6回目となる2017年に初当選。初めての京都ということもあり、いつもは応援に来ない家人も、友人のH君を誘って応援に来てくれることになった。ゴール後、夕食を食べに行くお店も予約。そのまま三条のホテルに泊まり、翌月曜は仕事を休んで京都観光の予定も立てていた。その一週間前、こともあろうに夫婦揃ってインフルエンザの診断!その前の週の後半、咳がひどかった家人は、金曜日の夜には寒気を感じるようになった。土曜日に耳鼻科に行ったが、建国記念日で休診。しかたなく月曜日に病院に行くことになった。僕の方は、土日に10kmずつ走り、一週間後の本番に備えた。ところが、月曜になって仕事に行く途中、関節に軽い痛みを感じた。昼頃になると、寒気もしてきて早退する。家人のほうも午前中で早退していた。夫婦揃ってかかりつけの耳鼻科へ。なんと二人ともインフルエンザと診断。よりによって、こんなタイミングで。あんまりではないか!2014年の東京マラソンも、直前に正体不明の高熱と浮腫みに襲われ、泣く泣く棄権したことを思い出した。翌2015年も、ほぼ同じ時期に同じような症状が出て、篠山マラソンが危なかった。医者は花粉症を疑った。昨年は、2月初めから花粉症の薬を飲んでいたので、症状は出なかった。今年も2月初めから花粉症の薬を飲んで、マラソンに備えていたのだ。仕事は当然二人とも一週間休みになった。僕の方はフリーランスの身なので、休むのは難しくない。症状は夫婦とも軽めで、病状が回復したら走れるかもと一瞬思ったが、マラソンのように人が大勢いる場所にインフルエンザの患者が紛れこんでウィルスを撒き散らすわけにはいかない、と断念。お店もホテルもキャンセルした。幸いというべきか、二人ともインフルエンザの予防接種をしていたせいか、症状は軽く、火曜の夜には熱も下がった。関節の痛みが木曜までは残っていたが、金曜日にはほぼ回復した。

そうだ、姫路城マラソンにエントリーしてたんだ。

京都マラソンを断念した直後から「姫路城マラソン」のことが頭をよぎるようになっていた。東京マラソン京都マラソン、姫路城マラソンは、ほぼ同時期に開催され、抽選も同じ頃に行われる。昨年9月、まず姫路城マラソンの当選、東京の落選が決まった。京都の抽選発表はまだだったが、どうせ駄目だろうと思い、姫路城マラソンの入金も済ませてしまった。ところが2週間後、京都マラソンも当選になり、お金がもったいないと迷ったが、初当選の京都のほうを走ることにした。インフルエンザで京都を断念してから、姫路城マラソンを走りたいと思う気持ちが強くなってきた。家人に相談すると「駄目駄目!インフルがぶり返したらどうするの」と反対していたが、インフルの症状が思ったより軽く、回復も早かったせいもあって「勝手に走れば〜。ぶり返しても知らないよ、応援行かないからね」と冷たいながらOKの空気になってきた。姫路を走るとなると練習も再開しないといけない。日曜まで我慢して、10kmほど走ってみる。膝の関節に違和感を感じるものの、走れそうな感触があり、姫路を走ることに決める。4日前の水曜日にも10kmを走って、当日に臨む。

前日入り、ホテル泊。

当日は7時から荷物預かり。8時15分〜45分にランナー集合。スタートは9時。逆算すると7時半には会場に着きたい。姫路駅から会場まで徒歩15分なので、7時15分頃には姫路駅に着きたいところ。乗り換え案内で検索すると、あてはまる電車がなく、前日入りになってしまう。一番早いので7時30分だ。何度も乗り換えて山陽電鉄を利用して7時17分到着というルートがあった。最寄駅の宝塚南口出発は5時5分となる。「午前4時起きかあ」と悩んでいると、家人から「前日から行って、姫路に泊まったら。ビジネスホテルだったら出してあげてもいいよ」という助け船。さっそくネットで調べてみるが、さすがに姫路市内はどこも満室。エリアを広げると加古川駅前のビジネスホテルに空室があったので予約。前日、午前中、会計士さんが来て確定申告の相談、午後一番で買い物を済ませ、3時頃、家を出る。乗り継ぎが悪く、姫路に着いたのは4時45分頃。駅を出ると正面に姫路城が見える。駅とお城をまっすぐな大手前通りが結ぶ、このたたずまいは悪くない。ここが県庁所在地でもおかしくない。駅から15分ほど歩いて受付会場のイーグレひめじに向かう。受付を済ませ、マラソンまつりをさっと見て、長い本町通り商店街を抜けて姫路駅に戻る。駅の構内のパスタ屋さんでパスタを食べ、普通電車で15分ほどの加古川に向かう。駅から徒歩3分のビジネスホテル。部屋に入ってシャワーを浴び、ゼッケンをつけるなど、装備をチェックする。あとはベッドに入って本を読む。午後9時半ごろ就寝。寝つきのよい自分には珍しく、夜中に何度か目が覚めた。

当日。

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午前5時起床。6時朝食。6時20分チェックアウト。6時40分の普通電車に乗る。姫路駅6時58分着。改札を出ると高校生(中学生?)のブラスバンドが迎えてくれる。これはよいアイデアで気分が盛り上がる。気温は3度とけっこう寒い。大手前通りを進むと途中で昨日帰りに通った本町通り商店街に誘導される。まだ開いている店はほとんど無く、薄暗い中をランナーたちが進んでいく。昨日の受付会場の北側に大手前公園があり、その地下の駐車場が男子の更衣スペースと手荷物預かりスペースになっている。これはよいアイデアで、大スペースを確保できて、しかも大勢のランナーが入ると少し暖かいのもいい。ウエアに着替えて手荷物を預けると7時45分。地上に出て、お城のほうへ軽く走る。戻ってくると8時15分。ランナー集合の時間だ。

装備。

トップはCWXの厚めのジッパー付シャツに、姫路城マラソンの参加賞のTシャツを重ね着。ボトムはミズノのサポート機能なしの防寒タイツに膝丈のナイキ・エアフィット・パンツ。シューズは昨年の大阪マラソン、宝塚ハーフを走ったアディダスのジャパンブースト。帽子ではなくバイザーを被る。時計はGARMIN。前後に振り分けたウエストバッグには、ジェルのサプリを3本、塩飴3個、エアサロンパス(試供品のミニ)、ティッシュ2パック、iPhone6、予備のバッテリーパック。けっこう重装備になった。スタートまでは、防寒のためのビニールポンチョを羽織る。

 

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スタート。北へ。逆走ランナーと衝突。

8時45分、セレモニーが始まる。スタート地点のステージの上は見えないが、聞きなれた声。「世界遺産姫路城マラソン 応援軍師 黒田カンペイこと間寛平です!」という自己紹介から始まったセレモニーは短めで好感が持てた。いよいよスタートだ。インフルエンザ明けのフル挑戦が始まった。号砲からさほどのタイムラグもなく、動き出した。100mも行かないうちにランニングに変わる。姫路城を背に、大手前通りをまっすぐ南下。駅の手前で右折して西へ向かう。すぐに右折して北に向かい、左折して北西に向かう。3km地点でポンチョを脱ぐ。暑いマラソンになりそうだ。突然、前方からランナーが逆走してきて、激しくぶつかった。肩と脚がからまってあやうく転びそうになる。手袋か何かを落として、拾うため引き返したらしいが、他のランナーにもぶつかったらしく、後ろのほうから悲鳴が上がる。これは明らかにマナー違反。何かを落としたことに気付いたら、コースの端に寄って(できればコースを出て)、ランナーの迷惑にならないように後戻りする。落とした場所の少し手前からコースに戻り、流れに乗りながら、落し物に近づいて拾いあげる。というのが正しいやりかただろう。

15kmまでは登り。夢前川の上流へ。

行く手には播州地方特有の低い山が見える。道はゆるやかに北に曲がり、前方に書写山が見えてくる。7km付近で夢前川の左岸沿いに出る。山陽自動車道を越え、書写山に登るロープウエイを左手に見上げながら北上。ここまでは抜かれる一方で、ペースもキロ6分30〜40秒前後にとどまっている。いつもなら最初の10kmぐらいまでは周囲の速さに引っ張られてキロ6分前後のペースになるのだが、インフルエンザの影響か、ペースが上がらない。コース図によると前半の15kmまでは70mほどの落差の、気付かないほどの登りである。知らず知らずのうちにペースが落ちるので、キロ6分30秒を維持することに努める。あとから考えると、前半の、この頑張りが25km過ぎの失速につながったのだと思う。9km付近で橋を渡って右岸を行く。なだらかな山並みを縫うように流れてゆく早春の夢前川が美しい。しばらく行くと、道の左側に菜の花畑が広がる。

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15km付近で登りが終わり、ペースアップ。

夢前川は清流で、上流にはカジカが生息していると聞いたことがある。しかしマラソンのコースとしては単調で、同じような風景が続き、僕たち亀ランナーには辛いコースでもある。集落にさしかかると、村中の人が集まってきたような人数の応援で迎えられる。学校のそばにさしかかると、たいていブランスバンドや太鼓の応援があり、元気をもらえる。案山子の応援が2箇所あった。10kmを越えたあたりだろうか対岸の道を、折り返してきたランナーがやってきた。地元のFM局が、ランナーへの応援メッセージを大音量で流している。相変わらずペースが上がらない。15kmあたりでようやく登りが終わる。16km過ぎでやっと折り返して、少しペースが上がった。キロ6分10〜20秒台をキープできるようになった。折り返した後、20km付近の給水所で、ジェルのサプリを補給。川沿いの風景は相変わらず単調。集落での応援で、ちょっと元気をもらう。

姫路は美人が多い?!

気のせいか、沿道で応援してくれる女性に美人が多いと感じた。中高生から、主婦まで、はっとするような美人を何人も見かけた。これまでたくさんのマラソンを走ってきたが、こんな風に感じたのは初めて。コースが単調なせいで、そんなところに目が行くのかもしれないが…。姫路に多いのか?夢前川流域に多いのか、どっちだろう。

竹炭そば、たまねぎスープ、蒲鉾、ぜんざい…。

20kmを越えたあたりから、膝に違和感を覚えるようになった。インフルエンザで熱が下がったあとも膝の関節の痛みはしつこく残っていたから、その影響なのかもしれない。気分転換のために給食コーナーでしっかり食べることにする。竹炭を練り込んだそば、たまねぎスープ、蒲鉾、ぜんざいなどをいただく。しっかりストレッチもして、後半に臨む。この頃になると、周囲のペースが一定になり、同じ顔ぶれで走るようになってくる。25kmぐらいまではなんとか快調に走れたが、ペースが落ちてきた。この先が思いやられる。腰を高く保って、骨盤を立て、腕をしっかり振って、リズムを守る。

下流へ。30kmの壁。

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ようやく山陽自動車道が見えてきて、姫路市街が近づいてきた。しかし往路を戻るのではなく、27km付近で河を渡り、右岸をさらに下流へ向かう。ここからが長かった。道は土手上の散歩道のような狭い道になる。道沿いには桜が延々と植わっていて、お花見によさそう。しかし単調なのは変わらず。その上、対岸の土手道は折り返してきたランナーの列が延々と続いている。土手道なので、小さなアップダウンがあり、けっこうきつい。30kmを越えたあたりで、ついに足が止まった。これがマラソン名物「30kmの壁」。練習不足のツケはきっちりやってくる。こうなるともう我慢しかない。膝の違和感はすでに鈍い痛みに変わっている。立ち止まって、2本目のジェルサプリを補給し、ストレッチを念入りに行って、12kmの苦行に出発する。走り方も変える。腕振りを強くしてリズムを保ち、動かない脚を無理やり動かす。いつまで経っても対岸にわたる橋が見えてこない。33km手前でようやく橋を渡り、上流へ向かう。ここからの左岸の土手道も長く辛かった。歩幅が小さくなり、ペースはキロ7分台に落ち、気を抜くと8分台まで落ちてしまう。35km手前の冷却スプレーポイントで、ふくらはぎ、膝、太ももの後ろを冷却し、さらに水をかけて冷やす。土手道のすぐそばまで住宅地が迫り、庭や自宅の窓越しに応援してくれる。この付近でも、チョコやアメ載せたトレーを差し出して「どうぞ」と声をかけてくれる人がたくさんいるが、いただく余裕はなくなり、「ありがとう」と手を振りながら通りすぎる。

ゴール。動物園。

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38km手前で、ようやく、本当にようやく夢前川を離れ、姫路市街に向かう。最後の3kmほどは、気が遠くなるほど長くて辛い。前を走っている滋賀から着た女性に、先にゴールした男性が沿道を走りながら励ましている。女性は脚を痛めているらしく、走り方が痛々しい。「無理に走らなくてもいいよ。歩いても腕さえ振ってれば、スピードはそんなに変わらないから。」女性は、男性のほうを見ず、走り続ける。市街地に入っても、姫路城が見えてこない。見えてきたのは残り1kmを切ってからだ。外堀を渡り、内堀を渡り、ようやくゴール。ゴール直前、20km過ぎから前後を走っていたカップルを抜く。スポーツドリンクと完走メダルを受け取り、フィニッシャータオルをかけてもらい、ICタグを外され、ランナー順路という案内に従って進むと、なんと動物園の中。あちこちの動物の檻の前のベンチで休んでいるランナーがいるのが不思議。動物園を出て、大手前公園に戻り完走証を受け取って、地下の手荷物預け&更衣スペースに向かう。地下に向かうスロープを、痛む膝でゆっくり降りる。このぶんでは今夜は筋肉痛で眠れないかもしれない。40分ほどかけて着替えて、JR姫路駅に向かう。新快速で三宮まで行き、阪急に乗り換える。宝塚南口に着いたのが5時前。風呂に入って、洗濯を済ませ、録画してあった東京マラソンブラタモリを見ながら夕食。11時に就寝。膝の筋肉痛で夜中に何度も目が覚めた。走った後、こんな風になるのは最初のフルマラソン以来だ。練習不足、インフルエンザ、コース前半のゆるい登りによる消耗など、複合的な原因によるものかもしれない。

5時間8分35秒

ネットタイムは5時間7分46秒。記録は見るべきもの無し。ここ3年はサブ5すら達成できていない。もちろん練習不足が一番の原因だが、最近は練習していても「僕は、マラソンに向いてないのかも」と思ってしまったりする。

姫路城マラソンについて。

今年で3回目となる大会だが、運営や演出、ボランティア、ランナーのサポートなどは申し分なかったと思う。市民、学校などが一体となった応援も気持ちよかった。また走りたい。課題は、やっぱりコースだと思う。姫路城マラソンといいながら、コースの大半は夢前川沿いで、自然豊かな景観の中を走れるのは、いいと思うが、そればかりでは退屈してしまう。僕らのような亀ランナーにとって退屈は疲労につながり、辛いマラソンになってしまう。交通規制の問題でこうなったのだと思うが、これでは姫路の魅力を伝えるマラソンにはならない。コースを、もっと南の臨海部や、東西方向に広げれば、変化に富んだマラソンにできると思うが。