第36回篠山ABCマラソン・ギリギリ完走記

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ゴールの関門閉鎖まであと3分!

篠山城の堀端の道から左へ折れるとゴールまで200mほど。コース脇の観客が「あと3分や!」と叫ぶ。動かない足を無理やり動かして、ペースを上げる。ようやく、やっと、ゴール!タイムは5時間7分55秒。未登録男子完走者5325人中5213位で完走。ひどいタイムだ。全行程が雨だった去年よりも20分近く遅い、36km関門にわずか10秒の差で間に合わなかった一昨年をのぞけば最悪のタイム。理由はわかっている。「練習不足」。それにつきる。この半年ほど、週1〜2回は走っていたが、いいかげんな練習しかしてなかった。今年に入って、20km超の練習は4回のみで 、そのうち30kmが1回だけ。以前ならレースの3ヶ月前から続けていた腹筋も、スクワットも、JRの北新地駅の階段登りも、自宅マンションの9階まで階段登りもほとんどやらなかった。それでも全行程雨という最悪のコンディションだった去年よりは、いいタイムが出るだろう、とタカをくくっていた。マラソンは正直だ。「走った距離は裏切らない」と高橋尚子は言ったが、「走らなかった距離のツケは必ず返ってくる」というのが、今回の教訓。

15回目のフル。練習のモチベーションが上がらない。

2011年の篠山での4時間35分が最速で、それ以降、自己記録も更新できずにいる。ちゃんと練習すればタイムは良くなるはずだが、練習に身が入らないのだ。去年の秋から週3回走ろうと決めたが、ほとんどできていない。近くのランニングクラブにでも入ろうかとも思うが、面倒さが先に立つ。マラソンは一人でできるスポーツだからいいのだ。不規則に仕事が忙しくなるのも練習ができない理由だが、そんなことは言い訳にはならない。要するに10年近くもランニングを続けてきて、マンネリに陥っているのだ。そしてモチベーションが上がらない理由がもうひとつある。

花粉症。

4年ぐらい前から症状が出始めた。2月になると、鼻と目がかゆくなり、鼻水が止まらないようになる。ランニングに出ると、3kmほど走ると症状が出てくる。マスクをして走ってみたが、とても走れるものではない。元々鼻が詰まり気味なので、走る時は口を開けたまま走っているらしく、マスクをすると呼吸困難になってしまう。一昨年の2月半ばに、突然の高熱と浮腫に襲われた。39度の熱が4日ほど続き、浮腫が引くまで1週間ほどを要した。去年も同じ頃、同じ症状に見舞われた。症状は同じだが、期間が半分ぐらいにとどまった。医者は花粉症を疑った。スギ花粉が飛び始めて、最初のピークの頃に発症するのかもしれない。今年は、念のために、花粉が飛ぶ前から薬を服用することにした。それが効いたのか、今年は高熱は出ずに、大会日を迎えた。しかし大会の数日前から花粉のピーク期がはじまり、マスクなしで出歩くと鼻の調子が悪くなった。練習に出る時はハンディティッシュを2〜3個はウエストバッグに入れてスタートし、1〜2kmごとに鼻をかみながら走っていた。フルを走るとどうなるか心配だ。

当日。

朝は、5時起き。洗面と食事を済ませ、6時30分ごろ、自宅を出発。篠山付近の天気予報は、午後の降水確率が40%。一応雨の装備も持っていくことにした。中国自動車道舞鶴自動車道は渋滞もなく、丹南篠山口まで30分ほどで到着。出口付近で少し渋滞。まっすぐに3年間使用している駐車場へ向かう。駐車場到着7時15分ぐらい。6割ほどが埋まっている。スタートが10時50分、ランナー集合が10時〜なので、時間がたっぷりある。昨年からゼッケン、シューズ用のICタグを事前に郵送してくるので、当日の受付は必要なくなったが、記念品のTシャツとプログラムをもらいに大会会場に行く。クルマに戻ると、まだ8時過ぎ。スタートまで3時間近くあるのでクルマの中で少し眠ることにする。1時間ほど眠って9時に起きる。トイレを済ませた後、着替える。気温はすでに15度を越えているので、トップは、防寒ではないCWXの薄手の長袖の速乾性Tシャツ1枚で行くことにする。ボトムは、サポート機能が無いミズノのタイツの上に膝丈のナイキのパンツを履く。シューズは、すでに500km近く走ったニューバランス。帽子は暑くなることを考慮してナイキのバイザーにする。ウエストバッグはハンディティッシュを6パックとジェルサプリを3本を入れるといっぱいになった。天気予報では午後の遅めから雨だが、雨の装備は持たずに行くことにする。左手にガーミンのGPSウオッチ、右手にはApple Watchを装着するが、iPhoneと通信するとiPhone側のバッテリーがもたないので、接続なしで使用する。念のため各関門閉鎖の時間を記した紙をiPhoneの背面に貼り付けておく。着替えを済ませて、荷物を預けに行くと、まだ9時半。しかたなく、会場そばの篠山城趾を散策する。10時前に集合場所に並ぶ。今年もCブロックだ。前方のほうでは開会式が始まろうとしている。篠山市長の挨拶の中で、完走メダルを今年から丹波焼にしたという。ゲストの有森裕子やかつみやさゆりの紹介と挨拶があり、ゲストランナーとしてタレントの野々村真が紹介される。早くから並んだせいもあり、今回はCブロックの2列目に並ぶ。今年は特別暖かいので、スタート前の寒さをしのぐビニールポンチョも必要なし。手袋も無しでスタートを待つ。

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レース。

10時40分に登録組がスタートした後、10時50分に未登録組がスタート。号砲が聞こえてからスタートラインを通過するまで3分を要した。スタート直後からどんどん抜かれる。事前に申請している目標タイムがサブ4ぎりぎりなので、こういうことになる。例年は、だいたい5kmぐらいまでは抜かれる一方で、5kmから10kmぐらいの間で周囲とのペースが一致してくる。しかし今年は、5kmを過ぎて、10kmを過ぎてもどんどん抜かれていく。第1関門の6.8 kmは12分の余裕で通過。昨年は15分の余裕だったので、ちょっと遅い。前半の15kmぐらいまでは、走る方向がころころ変わるため自分が今どちらを向いて走っているのか、わからなくなるの。それは6回目でもあまり変わらない。気がつくと鼻水が止まっている。5kmを越えたところで、1度鼻をかんだあと、数kmは鼻をかまずにすんだ。給水所で止まる度に鼻をかむが、それ以外は大丈夫だった。

6パック用意したハンディティッシュは結局2パックしか使わなかった。第2関門は18.2kmで13:05閉鎖。ここを13~14分ぐらいの余裕で通過した。期待したほど貯金できていない。第3関門の24.1kmを12分の余裕で通過。貯金が1分マイナス。20km過ぎから山沿いの集落を抜けてゆくが、細かいアップダウンがある。「あれ、この辺りはこんなに坂が多かったっけ?」と感じるのは、練習ができていない証拠である。しかも、気温がぐんぐん上がってきて、大量の汗をかいている。後半が心配になってきた。案の定、20kmを越えた辺りから、急に足が重たくなってきた。タイムのほうも25kmのキロ6分25分を最後に、キロ7分を越えるようになってきた。次の関門までは、山の中に入って谷道をだらだら登って行く、コース中いちばん辛い区間になる。 しし汁のコーナーを横目に見て、懸命に足を動かす。給水所では、できるだけ水をたくさん飲むようにする。山裾を縫うようにして続く道のはるか向こうまで延々とランナーの列が続いている。

貯金が減っていく。

30.6kmの関門は9分の余裕で通過。貯金が3分減っている。関門を越えてしばらく走って、ようやく折り返し地点。ここからは下る一方なので、少し楽になるはずだ。給水のタイミングでストレッチを行い、エアサロンパスをスプレー。2つ目のジェルサプリを摂って回復をはかる。しかし足の重さは変わらず、ペースが上がらない。一昨年は、30.6km関門通過で気を許してしまい、次の関門でアウトになった、苦い経験がある。ペースは上がらないが、足を止めないようにだけ心がけて、第5関門をめざす。36.3kmの第5関門を5分あまりの余裕で通過。貯金はマイナス4分。第5関門をギリギリで通過したランナーは、ほとんど全員が立ち止まって休んでいる。僕も立ち止まってストレッチなどをしながら休む。ゴールまで残り6km足らず。それを50分以内で走ればいいのだから楽勝だと、その時は思った。

関門閉鎖2分前。

最後のジェルサプリを飲み込み、念入りにストレッチをして、エアサロンパスをかけて、再び走り始める。しかし一度止まってしまうと、走り出してもなかなかペースが上がらない。思わず立ち止まってしまうのを無理やり動かして前に進む。篠山川沿いに出ると、あと5km。今年は、ここからが長かった。ペースが遅いから、よけいに長く感じる。最後尾に近いので、歩いているランナーが多い。しかし、ここで歩いていてはゴールに間に合わないことを彼らは知っているのだろうか?ゴール閉鎖は4時。現在時刻は3時20分。キロ7分なら間に合うが、キロ8分だとギリギリだ。さっきからペースはキロ7分後半に落ちている。今年初めて採用された丹波焼のメダルをもらうんだ、と自分に言い聞かせる。ようやく、ゴール地点の篠山城址が見えてきた。そして川沿いを離れ、北へ。堀端の道に出ると、観客から「あと4分」と叫ぶ声。もう大丈夫だと思うが、必死にペースを上げる。堀端の道から左に折れるとゴールまで200 m。沿道から「あと3分」の声がかかる。さらにペースを上げて数人を抜いてゴールした。丹波焼の完走メダルをかけてもらい、シューズのICチップを外してもらう。のどが異常に乾いている。水をもらおうと探すが、水のコーナーがない。完走したランナーの大半は、水をもらっているのに品切れらしい。しかたなく、手荷物を引き取って、クルマに向かう。もう道路の交通規制は終わっており、堀端の道を歩いて、クルマに戻る。途中の自動販売機でスポーツドリンクを購入、ようやく乾きを癒すことができた。今回は例年になく消耗している。不思議なことに、止まっていた鼻水が、戻ってきた。着替えて、トイレで顔を洗って、5時頃、駐車場を出る。舞鶴自動車道に乗るまでの道は、いつも混むので、農道のような細い道を抜けていく。しかし、交差点で事故があり、事故車が道を塞いでいて、先に行けない。しかたなく、後戻りして、別のルートを行くが、舞鶴自動車道への入口から遠ざかるいっぽうなので、諦めて国道176号線を南下する。三田まで戻ってきて三田西ICから乗ろうとするが、中国自動車道が宝塚を先頭に15kmの渋滞の表示を見て、176号のまま宝塚へ向かう。こちらも宝塚の手前で渋滞につかまり、家に帰り着いたのは、7時を過ぎていた。風呂に入って、ご飯を食べながら「真田丸」を見ているうちにウトウトしはじめた。10時前にベッドに入ったが、筋肉痛がひどく、なかなか眠れない。3日間、痛みがとれなかった。こんな風になるのは、最初にフルマラソンを走った時以来だ。それだけ練習が足りず、身体の準備が整ってなかったのだと反省。マラソンは、正直だ。

次はどうする。
これからも普段のランニングは続けると思うが、マラソン大会に出るかどうかは未定。15回もフルを走っているのに、タイムは変わりばえせず、マンネリ気味。ウルトラや、トライアスロン、トレランをやるべきなのかな。自転車にも興味がある。今年は、ランを控えめにして、別のことを考えてみようと思う。
結果:グロスタイム 5:07:55 ネットタイム 05:03:31 順位 5324人中5212位