大阪マラソン2013完走記


10回目のフルマラソン
マラソンを始めてから、ちょうど10回目のフルになる。10回の内訳は大阪3回、篠山3回、東京2回、神戸1回、総社1回。10回目にふさわしい大会にしたかったが…。
グループエントリーを諦める。
昨年はグループエントリーで4人で参加。グループエントリーは7人までで98,000円なので7人集まらないとペアエントリーの料金(28,000円:一人あたり14,000円)より高くなってしまう。昨年は、会社から半分補助してもらったが、今年は難しそうなので、Facebookでグループエントリー参加者を募集した。結局、5人しか集まらず断念。個人エントリーで参加することに。会社のA川君とN川君はペアエントリーで申し込んだ。結局、3人とも抽選に当選、めでたく走れることになった。
夏の猛暑で、練習進まず。
秋のマラソン自体は暑くもなく寒くもなく、気持よく走れるのだが、問題は、そのための練習が真夏になること。今年は特に猛暑日続きで、昼間の練習は不可能に近かった。夕方近くに走り始めるのだが、消耗が激しく、最長でも10kmぐらいしか走れない。夏期休暇は8日間連続で練習。後半は早朝練習に切り替えて走ったが、それでも距離は伸ばせなかった。9月に入ると、仕事が忙しくなって、休日出勤が続いたため、思うように練習ができなかった。1カ月前の9月29日に30kmを走ったのが最長練習。しかし30kmを何とか走ったものの、最後の10kmは何度も止まっては休みながらのランととは呼べないほどひどい内容に終わる。しかも週3回は走ろうと決めてのが、休日も仕事その他で、週1回走れるかどうかの状態が続いた。本番に向けて不安の残る事前練習だった。昨年は、グループの他のメンバーが初マラソンだったため、月に1度は合同練習を行ったが、今年一切なし。各人の判断に任せたが、あまり練習はしてない様子。
シューズ・トラブル。
2カ月前に買ったミズノのウエーブスペーサーAR4が、どうしても足になじまない。足の甲の部分に締め付け感があり、長い時間走ると、右足の親指の付け根部分に軽く靴ずれができてしまう。数日経つと、治っているので気にならなかった。ところが夏の休暇中に8日連続で練習を行った時、10kmランでも毎日続けると、4日目ぐらいで水ぶくれ状になってしまった。この時は、立ち止まってシューズを脱ぎ、患部にバンドエイドを貼って、何とかランを終えることができたが、フルの距離をこれで走れるのか不安になってきた。以前、同じシリーズの旧モデルではまったく問題が無かったので、いいかげんに試着してしまったのかもしれない。しかも、足の甲をかばうせいか、ちょうど靴ずれができる部位の足裏側が痛むようになっていた。前回の大阪ではミズノのイダテンというモデルで走ったが、やはりゴール後、軽い靴ずれになっていたことも考慮し、今回は思い切ってメーカーをチェンジすることに。以前に履いていたことがあるアディゼロにしようと思ったが、お店で試着してみて、エネルギーブーストというモデルに決定。ソールのクッションフォームが発泡スチロールっぽくて安っぽく見えるが、クッションの硬さ、反発力がしっくり来る。10km、20km、30kmで試走。全然問題なし。教訓:同じメーカーの同じモデル、同じサイズでもフィットしないことがある。シューズの個体差か?足のほうが変化したのか?しっかり試着してから買おう。
ダブル台風襲来。
今年は台風の発生が多い。本番が近づいた週のはじめ、強い台風27号と猛烈な台風28号が、日本列島に近づき、特に27号は週末に最接近する可能性が出てきた。直前の予想では、予報円の東寄りに進み、上陸や接近の可能性は低いものの、25日(金)の夜から26日の午前中に近畿各地で豪雨の怖れがあるという。豪雨で電車などが止まってしまうと土曜日のランナー受付が難しくなる可能性があった。25日(金)は朝から雨。少しずつ風が強くなってきている。午後から仕事に余裕ができたので、N川君を誘ってインテックス大阪に向かう。金曜日のせいか、人が少なく、受付もスムーズ。EXPOもゆっくり見ることができた。前日の土曜日。午前中は、いつもの武庫川河川敷コースをゆっくり5km走る。ちょうど宝塚市の中学駅伝大会が開かれていた。ちょうど、女子の部がまさにスタートしたところ。けっこう速い。体格の差が大きいのが面白い。小学生みたいな生徒と、ほとんど大人並の体格の生徒が一緒に走っている。ウェアも、ちゃんとした陸上競技用のウエアを着ている子もいれば、体操服そのままで走っている子もいる。午後は家人と清荒神方面へ2時間ほどの散歩。帰ってから明日の用意。夕食を早めに食べて、あとはのんびり。10時過ぎに眠りに就く。眠りが浅いせいか、起床までに3回目が覚めて、トイレに行った。
10月27日本番。
4:30起床。パンと紅茶だけの朝食。ランニング用Tシャツ、ランニング用下着を着て、ソフトシェルの防寒トップとジーンズを身に付けて準備OK。5:45に自宅を出る。外は少し寒い。白んできた空を見上げると中天に月がくっきりと浮かんでいる。快晴のようだ。15分ほど歩いてJRの宝塚駅に到着。しばらく待って、6:10発の大阪行き快速電車に乗る。眠い。尼崎駅で東西線に乗り換える。6:50に京橋駅着。西出口を出て、OBP方面に渡る橋を歩く。ツイン21手前の待ち合わせ場所に6:55到着。7:00になっても誰も来ない。待ち合わせ場所の手前、橋の反対側に、A川君らしい人影がいる。彼の携帯にかけてみると、人影が携帯を取った。「A川です。待ち合わせ場所にいます。いまどこですか?」「そこは待ち合わせ場所じゃないよ。橋を渡ったところ。」人影が動き出した。数分遅れてN川君も到着。早速会場へ向かう。去年は大阪城ホールが更衣スペースだったが、今年は野外になっている。雨で芝生が濡れていて、手荷物の袋を敷いて、着替える。装備を記しておこう。トップは今年の東京マラソンで着たナイキ・ドライフィットのTシャツ。ワコールのアンダーパンツに、膝丈のナイキ・ドライフィットのランニングパンツ。ナイキのバイザー。シューズは、アディダス・エネルギーブースト。左手にGARMIN ForeAthlete 110。右手にセイコー・スーパーランナーズ。ウエストポーチにはジェルサプリを3本、ティッシュ2パック、現金3千円、小銭200円。バンドエイド3枚を収納。エアサロンパスのサンプル版は迷った末、置いていくことに。iPhoneはウエストポーチのベルトにホルダーで固定。ここでA川君、N川と別れる。二人のブロックはQなので、かなり後のほう。たぶんゴールまで会うことはないだろう。スタート前、最後のトイレに並ぶ。15分ほど。手荷物を預けに行く。トラックを探すのに手間取って、預けたのは、締め切りの3分前。自分の整列ブロックに着いたのは、締め切りの10分前。去年とほぼ同じ時間で来ているのに、今年はなぜか余裕がない。3回目なのでタカをくくって、プログラムで手荷物トラックの位置や整列ブロックをちゃんと確認しなかったせいだろうか。

今回のスタートはFブロックから。
このブロック位置からだと、スタートライン付近で行なわれているセレモニーの様子は、ほとんど聞こえない。何も聞こえないまま30分以上の時間を過ごすのは退屈だ。しかたなくスマートホンで、Facebookなどをチェックしたりして時間を過ごす。スタート10分前、2つの時計とiPhoneのアプリ、Nike-Runningを立ち上げる。GARMINGPSの捕捉を開始する。セイコーはグロスタイムの計測、GARMINNike Runningはネットタイムの計測に使用する。5分前、歓声が上がった。車椅子組のスタートだ。そして9:00。セイコーの計測を開始する。号砲はまったく聞こえない。歓声が大きくなって、それとわかる。集団がジリジリと前へ動きだした。しばらくは少し進んでは止まる、少し進んでは止まるの繰り返し。やがて歩きが止まらなくなる。スタートラインが遠くに見えてきた。スタートラインまでは歩く速度。スタートライン横の台に松井知事を発見。GARMINNikeの計測開始。スタートラインを越えると、歩きから、ゆっくりのランに変わる。ここまでで9分は経過している。府庁前から本町通りに出たあたりで、巡航速度に乗る。本町通りから中央通りに合流する。森ノ宮の交差点までの距離は、去年よりも長く感じた。身体が重いような気がする。週のはじめまでは体重が58kgと昨年並まで落としてきたが、カーボローディングのつもりで1週間炭水化物を摂り続けたせいで、土曜日には60kgちょうど。いままで最高体重でのフル挑戦になってしまった。最初の1kmは6分57秒。次が6分18秒と若干速め。このペースでは、最後まで足が持たないのは目に見えている。今のコンディションからすると6分45分ぐらいで行くのがベストだと思うが、6分30秒前後で安定しているので、このペースを維持することにする。右足のふくらはぎに軽い違和感がある。こんなに早くから痛み出したら最後まで持たないぞ、と心配になる。南に向かう玉造筋は、上町台地の東側を走っているため、交差点を通過する度に、右を向くと、けっこう急な坂になっているのがわかる。3度めともなると慣れたもので街並を味わいながら走ることができる。鶴橋で右折し、千日前通に入る。序盤の難関は、上町台地の東側を登る坂。急ではないが、だらだらと長い。ようやく坂を登りきって、しばらく行くと最初の給水所。スポーツドリンクを飲みながら歩く。
応援に力をもらう。
給水後、次のイベントは、御堂筋スポタカ前で応援してくれる会社のYさんとの遭遇だ。御堂筋に入って、道にの右側に寄る。応援のうちわを持っているはず。いた。こちらに気づかずあらぬ方向を見ている。こちらから声をかけて、ようやく気づいてくれる。手をふって、ありがとうと言って、後にする。少し走ったところで先頭のランナーが走ってきた。いつもながら速い。今年は、なぜか芸能人ランナーにあまり出会わなかった。淀屋橋に到達し、チャレンジランの選手と別れる。10km通過。いつの間にか、右ふくらはぎの違和感は消えている。土佐堀通りを東へ走る。コースが広くなく、両側の視界がビル塞がれているので、景色も単調で、けっこう退屈する。そろそろペースメーカーになりそうなランナーを探しはじめる。先ほどから少し前を付かず離れずに走っている女性ランナーがよさそう。背が高くて、スリムで、トップからタイツまで、紫でコーディネートしたウェアがキマっている。スピードは、ほぼ同じぐらい。しばらくは、この「ムラサキさん」が視野から消えないように走っていこう。マラソンのウェアも、ここ1〜2年でとてもカラフルに、おしゃれになっている。特に女性のウェアの変化が著しい。土佐堀通りを片町で折り返す。北浜で橋を渡り、中之島へ。中央公会堂、中之島図書館、市庁舎など、歴史的建築群を観ながら、御堂筋へ。15km通過。足は、まだ大丈夫だ。スポタカ前で、先ほど往路で応援してくれていたYさんにもう一度会える。道の右側によって探しながら走るが見つけられず、残念。この辺りから気温がぐんぐん上がっていくのを感じた。暑いマラソンになりそうだ。
単調な区間。
なんばで右折して、千日前通りを西へ向かう。高速道路の下を走る、道は広いが、割りと殺風景なコース。大正橋を渡り、京セラドームの前へ。あれ、ドームが見えないぞ。コースとドームの間にイオンのショッピングモールができており、コースからはドームがほとんど見えなくなっている。これでは、府外から来たランナーは、ドームがどこにあるかも、わからないだろう。コースを変更して、ドームの全容を見れるようにできなかったのか。千代崎橋で折り返し、給水所で水を飲み、千日前通りを戻ると、ちょうど中間点。この辺りから、ペースメーカーさんについていくのが少しずつ辛くなってきたが、まだ走るエネルギーは残っている。なんばに戻り、南へ。大国町で左に折れ、恵美須町方面へ。恵比寿神社前の折り返し点で、一瞬、通天閣が見える。iPhoneで写真を撮る。この辺りで、5時間のペースセッターと彼らについて行く集団に追いつく。5時間ということはキロ7分ぐらいのペースなので、このまま行けば、グロスタイムでも5時間は切れるということだ。コースはいったん西に向かい、なにわ筋を南下した後、再び東に向かい、御堂筋に戻ってくる。ここから先は、道はまっすぐ、景観も単調で退屈。後半の疲労と相まって、苦しい区間だ。南に下るに従い、熱くなっていく応援も、今年は気のせいか、大人しく感じられる。この区間でのイベントは、32km付近で応援してくれるU君。去年、奈良を走った時の仮装で応援してくれるらしい。気がつくとゼッケンのホルダーが1個外れ、垂れ下がっている。予備は持っていないので、そのまま走り続けるしかない。幸い、走っている間は、風で何とか身体に張り付いている。南に向かうコースは、太陽が正面近くから差して、暑くなる。

失速。
24km辺りで足が止まった。1km7分23秒といっきにペースが低下。痛みとかは無いのだが、足が前に出ない。これは明らかに走り込み不足から来るものだ。疲れた時は、腕を意識的に振り、リズムをつくる。次の1kmは、6分台後半に回復。U君が応援してくれる32km付近まではがんばろうと決める。抜きつ抜かれつだった5時間のペースセッターを追い越して、ペースを上げようとするが、なかなか上がらない。逆に追いつかれ、置いていかれてしまう。30km付近だろうか、ちょっとこわそうなお兄さんが、「ここで立てなおして5時間切りを狙わんでどうすんねん!」と大声で叱りつけてくる。大阪っぽい。
半魚人。
そのおかげか、なんとか32km付近までは、ノンストップで行くことができた。右端によって、U君を探す。いた。はるかに手前から、それらしい半魚人の仮装が確認できた。手をふりながら走り寄っていくが、気づいてくれない。iPhoneのカメラを立ち上げて、「U君!」と呼びかけながら近づいていって、ようやく気づいてくれた。隣におにぎりの仮装氏がいる。写真を撮ると、「余裕ですねっ」と言われた。U君と別れてしばらく行くと、大阪市の商店会がやっている給食コーナー。ファンランなら、ここがいちばんのスポットだ。きゅうり巻き、いなり、小ぶりな饅頭をいただく。給食コーナーの後、再び給水コーナーがあって、水で口をすすぐことができるのがうれしい。給食コーナーで歩いたせいで、走りだしてもペースが全然上がらない。最後のエネルギージェルを補給するが、パワーは戻ってこない。住之江公園前の交差点で、ようやく西に向かう。このポートタウン線の側を走る長い直線も、風景が単調なランナー泣かせの区間。給水の後、水を両足にかけ、ストレッチをしてこわばった筋肉をほぐす。走っても走っても見えてこなかった南港大橋が、ようやく見えてきた。

裸足のランナーがいた。
この最後の難関で、たまらず歩いてしまう。坂の頂上を越えたところから、ようやく走りはじめる。ペースは1km8分台まで落ちている。坂の途中で、5時間15分台のペースセッターが追いついてきた。何とかついていこうとするが、少しずつ離されてしまう。南港大橋を渡りきってからも、まだ4km以上ある。もう、後は気持ちだけ。「リズム、リズム」とつぶやきながら走り続ける。南港に入ってからのコースが、殺風景なのだ。しかもゴール地点のインテックス大阪WTCなどのランドマークが全然見えないのだ。歩いてる人が多い中を、何とか走り続ける。原始人の仮装ランナーが追い抜いてゆく。彼は何と薄っぺらいサンダルを履いている。その隣は着ぐるみの女性で、足は何と裸足。信じられない。ベアフットランニングが流行っていると聞くが、フルを裸足で走るとは、只者ではない。
ゴール。
ようやくWTCのビルが見えてきた。沿道の観客にハイタッチでエネルギーをもらいながら、ゴールをめざす。もうネットタイムでも5時間は切れない。歩くようなペースで、ゴールに駆け込んだ。タイム5時間15分14秒。ネットタイム5時間7分02秒。完走メダル、フィニッシャータオルなど、ゴール後のセレモニーを済ませ、更衣スペースへ。LINEで他の二人にゴールした旨を伝える。ランナーズアイで二人の位置を調べるとN川君は、もう少しでゴール。A川君は、35km以降から動いていない。しばらくしてN川君より電話があり、ゴールしたとのこと。昨年は足の故障で途中リタイアした彼は、リベンジに成功。タイムも結構よい。ネットタイムでは僕と6分しか変わらない5時間13分01秒。立派。「最初から調子がよかった」という彼は、キロ7分のペースを守って、見事に完走を果たした。しばらくしてA川君もゴール。待ち合わせスペースで合流する。N川君から遅れること50分の6時間07分45秒。二人ともガールフレンドが応援に来てくれたらしく、N川君のほうは、マラソンEXPOのブースで彼女と一緒に記念撮影などをしたいという。N川君たちを会場に残して、僕とA川君は、南港ポートタウン線中ふ頭駅に向かう。去年は、コスモスクエア駅まで歩いたが、かなり遠回りさせられた上に、駅に着いても、なかなか電車に乗れず、疲れ果てたことを覚えている。中ふ頭からだと比較的スムーズに乗れ、コスモスクエア駅でも地下鉄にすぐ乗り継ぐことができた。中央線で阿波座まで乗り、阿波座から千日前線でひと駅の玉川で下車。A川君のマンションでシャワーを浴び、駅前の居酒屋で打ち上げ会。ほどなくN川君が合流。3人で、全員完走を乾杯した。好タイムで作年のリベンジを果たしN川君は終始上機嫌だ。1時間半ほどで、解散。家に帰ったのは9時少し前。洗濯や片付けを済ませ、ゆっくり風呂に入って、マッサージをした。録画してあった西日本実業団女子駅伝を見て、早々とベッドに潜りこんだ。足のダルさでなかなか眠れなかった。レース後、こういう状態になるのは、久しぶりだ。要するに練習不足。2〜3日は痛みが取れないだろう。
総括。
一にも二にも走り込み不足。夏の猛暑と9月10月の仕事の忙しさのせいと言うのは言い訳に過ぎない。記念すべき10回目の大会なのに、完走という以外、ほとんど成果なし。9回も走るとマンネリになり、モチベーションが少し下がっていたのも事実だ。大会プログラムすら、まともに目を通さなかった。そのせいで、手荷物預かりとかでもたつき、ぎりぎりの時間になってしまった。今シーズンは、この後、11月の神戸、12月の宝塚ハーフ、3月の篠山と続く。シーズンが終わったら次のことを考えよう。このままマラソンを続けるのか、もっと違うことを(ウルトラマラソン?、トレラン?、トライアスロン?)はじめるのか…。しかし、その前に3つのマラソンをがんばろう。
タイム:5時間15分14秒
ネットタイム:5時間7分02秒。