東京マラソン2013完走記録

東京マラソン2013

9回目のフルマラソン。最初のフルマラソン挑戦が2008年の第2回東京マラソンだったので、思い出深い大会だ。第1回から申し込み続けているが、当選したのは2008年と今回のみ。今回は、東京マラソンのクラブであるONE TOKYOの会員になり、さらに4200円を払ってプレミアムメンバーになり、その上、友人のMさんのグループエントリーに加えてもらって応募。一般抽選に先立って行われるプレミアムメンバーのみの抽選でめでたく当選。
練習
昨年11月の大阪マラソン、12月の宝塚ハーフマラソンのあと、それほど練習できていない。1月〜2月は、家庭の事情、仕事の都合等で、それぞれ60km程度の走行に留まった。30kmを越えるランは、2週間あまり前にスローペースで走った32kmが一度だけ。レース後半が心配だ。体重も56kgが目標だったが、59kgにとどまった。
前日
前日の23日(土)、7:00に起床。テレビの天気予報によると、寒気が強まり、北日本、日本海側は雪になる見込み。米原付近の降雪で、新幹線が遅れなければいいが…。朝食はトーストと紅茶。新大阪10:27発ののぞみに乗る。予想通り、米原付近は雪。伊吹山が見えない。確か、名古屋を出てしばらくしてだと思うが、のぞみが緊急停止した。先頭車両に何かがぶつかったようで確認のために止まったという。このまま動かないとまずいと思っていると、しばらくして動き出した。10分程度の遅れで済んだようだ。その後、のぞみは遅れを取り戻して定刻に品川に到着。品川で山手線に乗り換え、新橋へ。新橋駅のSL広場で受付を済ませて戻って来たMさんと待ち合わせ。駅の近くの中華料理店で昼ご飯を食べる。ラーメンと炒飯と餃子でしっかりカーボローディング。レース前の待ち合わせ場所、ゴール後の食事の場所などを話し合う。食事の後、新橋駅近くのサウナを探しにいく。駅から3分の場所に発見。ゴール後は、それぞれが新橋に戻って、このサウナで待ち合わせることにした。これからギターのレッスンというMさんと別れて、“ゆりかもめ”でビッグサイトに向かう。ランナーらしき乗客は多いが、座席には座れた。しかし“ゆりかもめ”の小さな車両では、明日のゴール後の移動は大混雑は必至だ。前の時と同じく臨海線で帰ったほうがいいかもしれない。「国際展示場正門」駅に着いて、ビッグサイトに向かう。ランナー受付は行列もなくスムーズに終了し、東京マラソンEXPOの会場をひと周りする。1時間ほど歩き回って、公式グッズショップでロゴ入りの人形焼とチョコレートを買って会場を出る。高橋尚子のマラソンセミナーを観ておきたいと思ったが、あまりの人の多さに断念。“ゆりかもめ”で新橋に戻って、ホテルにチェックインする。ホテルは新橋と浜松町のちょうど真ん中あたりにあるビジネスホテル。荷物を置いて、夕食を食べに行く。新橋駅近くのパスタ屋さんでパスタとビールの夕食。ホテルに戻る途中でコンビニに寄り、明日の朝食とレースに携行するジェルのサプリを購入。部屋に戻って、明日の装備を点検する。
装備
装備を記しておこう。トップは2008年の東京マラソンから着ているワコールCWXの厚手のハーフジップシャツ。この上にNikeの水色のTシャツを重ねる。下は、ワコールCWXのタイツ用下着にミズノの防寒タイツを履き、ナイキの膝丈パンツを重ねる。シューズはMIZUNO ウエーブスペーサーAR3。大阪マラソン前に購入したウエーブ イダテンGR2 WIDEを履くつもりだったが、大阪マラソンの最後のほうで右足の甲の部分に違和感を感じた。ゴール後見てみると、擦れて赤くなっていた。それと少し重いのも気になっていた。結局、昨年、岡山の総社マラソンの前に買ったウエーブスペーサーを履くことにした。モンベルのウエストポーチにはジェルサプリを2個、ハンディティッシュ2個、1000円札×4枚、小銭300円、バンドエイド2枚を収納。ウエストポーチのベルトにはiPhoneのケースを装着。頭には、アディダスのバイザー。時計は右手にセイコー・プロスペックス・スーパーランナーズEX。左手にはGARMINの GPS時計の最廉価モデルForeAthlete110。大阪マラソンで電池が持たなかったFR405からの買い替え。ゼッケンは、MIZUNOで購入したゼッケンホルダーで固定。装備を点検し、荷物をまとめて風呂に入ってもまだ9時前。VODで、見逃した映画「ダークナイトライズ」を観る。ベッドに入ったのが11時。僕はどんな場所でも眠れるほうだが、さすがに気持ちが高ぶっているのか、寝付きが悪く、眠ってからも一時間半ごとに目が覚めた。
当日
5時30分に起床。シャワーを浴び、走る装備に着替える。防寒ジャケットと防寒パンツを履いて、6時45分に部屋を出る。天気は快晴だ。寒い。地下鉄銀座線、丸ノ内線で新宿に到着。すでに会場に向かう大勢のランナーがいる。その流れに乗って歩けば自動的に会場に到着する。荷物預かりのトラックに向かう。トラックの番号は35番で一番遠いところ。トラックの前で防寒着を脱ぎリュックに入れ、荷物袋に入れる。持ってきたビニールのポンチョを着て寒さを防ぐ。荷物を預け終えると、待ち合わせの時間まで20分ほどあり、トイレの行列に並ぶ。ここで済ませておけば、コーズの半ばぐらいまでは大丈夫だろう。トイレを済ませて待ち合わせ場所に向かう。待ち合わせの5分前にLINEでMさんから待ち合わせ場所に到着のメッセージが入る。43番のトラックの前でMさんを探すが、なかなか見つからない。何度かメッセージを送って、ようやく会えた。そのままグループエントリーの他のメンバーを待つ。お互いのiPhoneで写真を撮り合って、Facebookに上げようとするが、回線が混み合っていて、アップロードできない。延々とアップロードしようとしている間にiPhoneのバッテリーが消耗し、80パーセントを切ってしまった。まずい。あきらめて写真なしでスタート直前の投稿をする。家人にも「行って来まーす」の写真なしメッセージを送る。待ち合わせ時間の8時半を過ぎても他のメンバーが現れない。ランナー整列のブロックの締め切り時間が近づいてきた。Mさんのスマホにメッセージが入り、一人はトイレの行列に並んでいるとのこと。まだ時間がかかりそうだ。もう一人は不明。しかたなく、顔合わせは諦め、二人でスタートのブロックに向かう。自分はGで、MさんはJだ。ほぼ同じ時間に申し込んだので、申し込み時に書いた目標時間が影響しているのかもしれない。自分は4時間(無謀にも)で、Mさんは4時間半だった。途中でMさんと別れる。「がんばりましょう。ゴール後、サウナで」と言葉を交わして自分のブロックに向かう。スタートは、都庁前を南から北に向かって走るが、その道の一番南の端を西に曲がってしばらくするとGブロックになる。前回の時は、スタートの1時間前から並んだため、身体が冷えてしまったが、今回は待ち時間は20分ほどですんだ。
スタート
このブロックからはセレモニーの様子は見えない。スピーカーの音だけで想像するしかない。カウントダウンが始まった。最初は車椅子組がスタートする。スターターは猪瀬知事。号砲が鳴った。そしていよいよ自分たちの番だ。カウントダウンに続き、再び号砲。右手のセイコーの時計ストップウォッチをスタートさせる。右手がグロスタイムを、左手がネットタイムを表示する。号砲が鳴ってもしばらくは動かない。しばらくしてゆっくりと動き始めた。少し動いては止まり、動いては止まりを繰り返して、ようやく都庁前のスタートラインが見えてきた。結局スタートラインを越えたのは、号砲から11分余りを経過した時である。通過と同時にiPhoneNikeアプリとGARMINを同時にスタートさせた。さあ、42.195kmのはじまりだ。通過と同時に、速度が上がり、ほぼ通常の走りに近いペースでレースが始まった。前回は、初めてのフルマラソンだったこともあり、練習では走ったことがないような速いペースで最初の2kmほどを走ってしまったが、今回は落ち着いている。最初の5kmは44分。Net timeでは33分。余裕があるせいか、コースはかなり覚えている。山手線の高架下をくぐるところ。ずっと下りが続く靖国通り。外堀通り沿いの最初の給水ポイントなどは既視感バリバリ。余裕があるためだろうか、気のせいか、以前よりコースが長く感じられる。飯田橋駅のホームから応援してくれる人々など、前回は気づかなかったことに気がつく。陽の当たる時は暖かいが、ビルなどの陰に入るとけっこう寒い。それでも5km手前当たりで身体がかなり暖まり、ポンチョを捨てていくことにする。少し気になるのが、身体が重く感じられることだ。前回よりもコースが長く感じられるのも、そのせいかもしれない。少し遅めだが、このペースをキープしよう。
竹橋〜皇居〜日比谷
竹橋から皇居のお堀沿いに出ると道幅も広がり、開放感がある。皇居と日比谷公園芝公園辺りは、このマラソンの最初のハイライトともいえるエリアで、とても気分がいい。仕事でこの辺りはよく通るが、ランナーの眼から見る景観は別の世界に見える。日比谷交差点で、折り返してきたランナーとすれ違うが、先頭集団はすでに通りすぎた後。速い。10kmレースは、日比谷公園がフィニッシュ。芝公園、増上寺、東京タワーを横目で見ながら、先を急ぐ。この辺りで「5時間のペースランナー」を抜いた。彼らの前を走れば、5時間を切れるということか。前回は芝公園付近でトイレを利用したが、今回は行列が長く、時間がかかりそうだ。トイレはもっと後にしよう。日比谷通りを南下して三田で第一京浜に出る。泉岳寺を通って、品川の折り返し点に向かう。泉岳寺は東京勤務時代に事務所があった一画なので懐かしい。お店など、まだあるかどうか、キョロキョロしながら走る。折り返してきて、すれ違うランナーの中に4時間半のペースランナーがいた。少なくとも20分は差がついている。あれに追いつくのは至難の技だ。そして最初の折り返し、品川駅前。ここまでで15km。
銀座〜浅草〜銀座
折り返してからは、ずっとビルの陰を走るため、寒い。しかしビルに遮られているせいか、風もあまり吹いて来ない。身体の重さは残っているが、まだ足は問題なく動いている。日比谷の交差点まで戻って20km 。ハンディタオルで汗をぬぐう。バイザーをかぶり直して、身だしなみを整える。銀座で応援してくれるという友人に会えるかもしれないからだ。ゼッケン番号は伝えてある。道の左側に寄って、友人を探しながら走る。東京マラソンのような大きな大会では、ランナーと応援者がお互いを見つけることは、とても難しい。前日にウエア類はFacebookに投稿しているが、同じようなウエアのランナーは数えきれないほどいる。銀座4丁目の手前から友人を探しながら走ったが見つからない。念のため、京橋、日本橋あたりまで道の左側を走り続ける。探すのを諦めて、携行しているジェルのサプリを摂る。給食ポイントでバナナ、人形焼きを食べる。この辺りからトイレを探し始める。銀座から浅草の区間は、景観としては両側をビルに塞がれ、単調なため、けっこう辛い。前回も、この区間がいちばん辛かった。ある交差点で、人だかりが出来ていた。ランナーの一人が倒れたようで、救命活動の真っ最中のようだ。まだ救急車は到着していないようだ。助かればいいのだが…。雷門の折り返しポイントまでにトイレに行こうと決めていたので、27km付近のトイレに並ぶ。ここで7分間のロス。そして雷門へ。かなり手前から、ビルの間にちらりとスカイツリーが見えるようになってきた。そして雷門の瓦屋根が正面に見えてくる。そして雷門前を右折すると、正面にスカイツリーがしっかり見えた。iPhoneを取り出して写真を撮る。全区間で、ここがいちばん感動するポイントかもしれない。素晴らしい景観に気分がよくなって、折り返す。後は、ゴールめざしてひた走るのみだ。再び単調な街並を走る。ここで元気づけてくれるのは、切れ目なく続く沿道の応援。左端によってハイタッチでエネルギーをもらいながら、走り続ける。30km手前から足が動きにくくなってきている。ゴールまで持つだろうか。この大会では、密かに決めていたことがある。それは、「どんなに辛くなっても、足が痛くなっても決して歩かないこと」32kmを少し過ぎたところで2個目のサプリを補給。ちょっと気を抜くとペースが7分台に落ちてしまう。自分より少し速いランナーを見つけて、彼についていく。すると6分台に戻る。そんなことを繰り返しながら銀座4丁目に戻ってきて34km。
佃橋〜ゴール、十字架のキリストを抜く。
銀座から晴海通、築地を通って、最大の難所である佃橋へ。1kmのペースが7分を切るのが難しくなってきた。ここで歩いてしまうランナーも多い。亀のようなスピードだが、走り続ける。ようやく最高点を越えて一息つく。この先で会社の東京オフィスのスタッフが応援に来てくれているかもしれない。彼女を探しながら走り続ける。またしても見つからない。この時、僕は勘違いをしていた。彼女は、前回の時、自宅が近い佃橋の先で応援してくれたので、今回も同じ場所で応援してくれるものと思っていた。しかし彼女は豊洲に引っ越していて、豊洲の交差点で待っていたのだ。ゼッケン番号を問い合わせてきたメールの中で、彼女はちゃんと書いていたのだが、それを見落としてしまっていた。僕は彼女を探すのを断念し、後は完走に向けて集中する。しばらく走ると前方に何と「十字架を背負ったキリスト」の姿のランナーが見えてきた。長髪で髭を伸ばし、上半身は裸で、腰布をまとった姿は完璧だ。去年も走っていたが、今年も走っている。同じランナーなのか。しかも、もう少しでゴールしそうだ。コスプレ・ランナーにはいつも驚かされる。コスプレを禁止する大会があるが、つまらないことをするなあ、と思う。一緒に走っているランナーも楽しいし、元気が出る。応援する人も大喜びだ。コスプレで走ったことがあるランナーによると、「クセになる」らしい。ビッグサイトに向かう最後の数キロは、埋め立て地特有の、無機的で人工的な風景が続く。しかも橋を渡る度にアップダウンがあり、ランナーに残された最後の体力を奪ってゆく。腕を無理矢理動かして前に進む。そういえば先ほどから背中の肩甲骨から左肩にかけて、凝ったような痛みが強くなっている。有明コロシアムの手前に到着して、41km。どこのマラソンでも最後の2kmが果てしなく長く感じる。最後はビッグサイトに沿って、海に向かって走る直線だ。直線が終り、右に曲がると白いゲートがあり、LAST 195mと書かれている。まだ195mも走るのか!最後の195mの先にゴールが見えた。全力で走るが、スピードはこれ以上上がらない。両手を上げてゴールを通過。右手のグロスタイムは5時間11分。左手のNet Timeはかろうじて5時間を切っていた。ゴール直後、iPhoneNikeアプリでゴールをアップロードしようとした途端、電源が落ち、画面がまっくらに。そう言えば、40kmの手前でiPhoneを見たら、電池残量低下というメッセージが出ていたことを思い出した。
大渋滞〜完走に乾杯
フィニッシュタオルを受け取り、メダルをかけてもらい、スポーツドリンクや水、バナナ、みかんを受け取り、荷物受取場へ向かう。荷物を受け取って更衣スペースへ向かう。まずは充電用のバッテリーでiPhoneを充電する。背中から肩の痛みと足の痛みのせいで着替えが思うようにできない。着替えを済ませて、iPhoneを再起動するとMさんからメッセージが入っていた。「ゴールしました。着替えてサウナに向かいます」彼は僕より数分早くゴールしたようだ。家人に「ゴールした。タイムは聞かないで」とメッセージを送る。着替えが終わって、出口へ向かっていると、Mさんから携帯電話がかかってきた。“ゆりかもめ”の駅までの道がものすごく混んでいて動きません。新橋のサウナに行けるのはいつになるやら…。」とりあえず出口付近で合流することにした。ビッグサイトの中は通行が制限され、会場をぐるぐる回ってようやく出口に到着。しかし、そこから駅までの道も厳しく制限されており、前に進まない。“ゆりかもめ”の小さな輸送量では、これだけの人間を運びきるのに相当時間がかかりそうだ。「臨海線なら車両も大きいので、もう少しマシかも」ということで臨海線に向かうことになったが、駅に行くまでに時間がかかりそうだ。Mさんの提案で、新橋のサウナに行くのは諦め、この近くのお店に入って晩飯を食べましょうということになった。駅のそばのビル2階にある居酒屋に入って、ビールで完走を乾杯した。Mさんはさらに後ろのブロックのスタートだから僕より11分以上速い。「後半バテないように、前半を抑えめで走ったけれど、そのままのペースで最後まで行ってしまった」らしい。ビールの後は熱燗の日本酒を飲み、2時間ほど過ごした。店を出て、“ゆりかもめ”の駅に向かうと、すでに混雑は解消し、座って新橋に向かうことができた。新橋で解散した後、東京駅へ向かう。8時30分ののぞみを予約していたが、一時間早い便に変更。ついでにたまったポイントを利用してグリーン車に変更。大丸のデパ地下で銀河高原ビールと小さなたい焼きを買って大阪行きののぞみに乗車。乗ってすぐにビールを飲んだら、すぐ眠りに落ちてしまった。名古屋で一度目が覚めたような気がするが、次に起きたのは新大阪に着く直前。ぐっすり眠ったせいか、背中や足の痛みは和らいでいた。家たどり着いて、荷物をほどいて風呂に入って寝たのが午前1時。夢も見ずに朝まで熟睡した。
総括
フルマラソンを始めて以来、ずっとサブ4を目標にしてきたが、いっこうに達成できそうにない。今回はネットタイムですら5時間をかろうじて切れたレベル。2008年に東京マラソンで初めてフルを走った時のタイムよりも悪い。「走った距離は裏切らない。」と、高橋尚子さんは言ったが、その通りだと思う。明らかに走り込み不足。今回でフルマラソンも9回目なのだから、何か進歩がないとつまらない。ふだんの練習の考え方を根本的に見直そう。10回目は、今度こそサブ4をめざすぞ。
東京
それにしても東京マラソンを走るのは楽しい。皇居をはじめとする都心の景観。銀座〜浅草間の変化に富んだ街並み。ベイエリアの開放感…。風景や街の匂いが刻々と変化していき、退屈しない。大阪でも神戸でも味わえなかった特別な何かがある。