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「そうじゃ吉備路マラソン」遠征記


2月26日、東京マラソンの朝、僕は7回目のマラソンを、岡山県総社市でスタートしようとしていた。「そうじゃ吉備路マラソン2012」朝の天気予報によると気温は6度。天気は曇りだが、風は強くない。まずまずのマラソン日和。体調は悪くないが、何となく身体が重い。いつものことながら自分で決めた練習メニューは消化できていない。生まれて初めて訪れた町でのマラソンは、いつも以上にドキドキする。
東京、京都が落選。篠山定員で締め切り。
なぜ、このマラソンを走ることになったか、そのいきさつを書いておこう。2011年10月上旬、東京マラソンの抽選発表があり、今年も落選。同じ頃、京都マラソンの抽選発表も行われる予定だったが、主催者側の事情により、抽選発表が約1カ月遅れた。例年であれば、東京の落選通知を受け取ったらすぐに篠山マラソンに申し込むのだが、今年は1カ月後の京都マラソンの抽選結果を見てから篠山の申し込みをしようと考えていた。例年、篠山は、10月と12月の2回に分けて参加者を募集する。そして毎年篠山に参加していたランナーのかなりの人数が京都マラソンに参加すると思われ、2012年の篠山は例年よりガラガラになると予測された。11月下旬に京都マラソンの落選通知が来た。大阪、神戸と当たったから、京都までというのは欲張りか、と諦めて、篠山マラソンの申し込みをしようとWebサイトにアクセスすると「定員に達したため、ランナー受付を終了しました」という告知。京都マラソンのとばっちりを受けて、ガラガラになるはずだった篠山がなんで定員一杯になったのか?京都マラソンが始まることで、関西エリアにおけるマラソンのキャパは大きくなったと思うが、それ以上にマラソン人口が増えているのだろうか。篠山にもフラれて、しかたなく、別の大会を探すことにする。できれば日帰り圏で、フラットなコースがいい。そして見つけたのが岡山県総社市の「そうじゃ吉備路マラソン」。開催日は、東京マラソンと同じ2月26日。2011年の参加者は1万人強と、篠山と変わらない。クルマで行くとすると、中国自動車道、山陽自動車道、岡山自動車道を乗り継いで1時間半余り。これなら行けそうだと思い、さっそく申し込みを済ませた。しかし申し込んだ後、問題点に気づく。2月末頃というのは、まだまだ寒くて、中国地方の高速道路は、雪による通行規制で思ったように走れないことが多い。スタッドレスならまず安心だが、そのためにはスタッドレスタイヤに履き替えなければならない。それならば鉄道を利用ということになるが、大会当日、早朝に家を出ても、受付、着替え、荷物預けなどの時間を入れると、スタートにギリギリ間に合うかどうか。しかもスタート/ゴールの会場であるスポーツセンターは駅から2km近く離れていて、シャトルバスとかの運行はなさそう。その移動時間も考えると、間に合わない可能性も考えられた。そこで、今回は前日移動で宿泊することにした。さっそく総社市の旅館やホテルに電話をしてみるが、どこも満室。しかたなく少し離れた倉敷のビジネスホテルを予約した。前日の土曜日に会場まで行って受付を済ませ、ついでに倉敷の観光でもしようと思った。
トレーニング。
11月に神戸を走って以来のフル。12月は、宝塚ハーフマラソン参加を含め、そこそこ走ることができた。しかし、1月に入ってからは思うように練習メニューが消化できなかった。1月半ばに緊急入院した家人の母親の介護や付き添いで、家の内外がバタバタしていたことも理由のひとつである。神戸以後、35Kmを超える距離を走ったのは1度きり。トレーニングが進もうと進むまいと、その日は容赦なくやってくる。
前日。
当初の予定では、土曜の朝出発して、昼頃現地に到着。受付を済ませて、倉敷に行き、軽く観光して、夕方にはホテルに戻って、着替えて、5キロほど走ろうと思っていた。しかし、そのためには、ランニングウエアをもう一式持っていかないといけない。荷物が増えるのが嫌だったので、新幹線を昼すぎ出発の便に変更し、朝いちばんでいつもの武庫川を約6km走る。 帰ってシャワーを浴び、遅めの朝食を済ませ、家を出る。新大阪駅で昼食。12時23分新大阪発ののぞみに乗った。1時間弱で岡山に到着。iPhoneの乗り換え案内で調べると2分後に総社に向う電車が出るというので、あわてて構内を走る。ホームに降りると、その電車は2分遅れていて間に合った。2時すぎには総社駅の改札を出た。大会参加者と思われる男女が迷うことなく駅前から東にまっすぐ歩いていく。事前に調べたところによると、このまま、まっすぐ行けば、市役所。市役所を越えた交差点を右に曲がって南にまっすぐ行くと会場だ。美容院、家具屋が多い。コンビニが一軒。高層の建物はまったくない地方都市。正面にスポーツセンターらしい体育館のような建物が見えてくる。受付を済ませたらしい参加者が大会のロゴが入った袋を下げて戻ってくる。20分近く歩いて、ようやく到着。まっすぐにフルの受付に向う。大会プログラム(けっこうぶ厚い)、ゼッケン、タオルとペットボトルのお茶。受付テントのすぐ後ろが体育館で、選手の更衣室、控え室になっている。体育館のフロア全部が選手の控え室になっているようだ。シャワー設備もあるようだが、大会当日はとても使えないだろう。
手荷物預かりがない。
体育館を出て、気になっていたことを先ほどの受付コーナーのスタッフに聞く。「明日、着替えた後、荷物はどこで預かってもらえるのでしょうか?」受付スタッフは、「荷物は、後ろの体育館で各自保管していただきます。明日は、貴重品を預かるコーナーができます。」つまりバッグなど、大きな荷物は預かってくれない。体育館の中に自分のスペースを確保し、荷物は、そこにそのまま置いておくということ。もちろん盗難を監視する係とかはいるのだろう。財布等の貴重品のみを預かってくれるということ。一応納得。こんなこともあるだろうと、小さなショルダーバッグを持ってきたので、貴重品は、そこに全部入れて預かってもらおう。疑問が解決したので、そのまま同じ道を駅に戻る。総社駅から伯備線倉敷まで10分ほど。
30年ぶりの倉敷大原美術館
倉敷の駅のすぐそばのビジネスホテルにチェックインしたのが、16時前。荷物を置いて、すぐにホテルを出て、美観地区へ向う。迷わず大原美術館へ。17時まで開館なので、大急ぎで見て回る。以前に来た時は、こじんまりとした印象だったが、コレクションが大幅にパワーアップしている感じ。とても一時間で見ることはできない。名画の数々を駆け足で鑑賞し、17時前に美術館を出る。夕暮れの美観地区を散策しながら、夕食のお店を探す。前に来たのは30年以上前だと思うが、運河と白壁の街並が以前より広がっているような印象を受けた。駅のほうに向って歩きながら探すが、どの店がよいかわからない内に駅前に来てしまった。駅の北側には三井アウトレットなどがあるショッピングモールができている。結局その中のイタリアンレストランでパスタとビールで夕食を済ませる。夕食の後、アウトレットをぶらついた後、19時過ぎにホテルに帰る。明日のウエアや装備を確認する。忘れ物が2点あった。手袋とゼッケンホルダー。手袋はスマートホン対応で装着したままiPhoneが操作できるニット製。会場に行く途中にコンビニがあったので、明日の朝、購入しよう。ゼッケンホルダーは、安全ピンを使わずにゼッケンをウエアに装着できる優れもので、昨年の大阪マラソンから使っている。ふつう主催者から配られるゼッケンには8個の安全ピンが付属しているが、とがった部分を持つ金属を8個も身につけるのは気持ちがいいものではないが、今回は安全ピンでいくしかない。天気予報では明日の気温は6℃。風があればかなり寒くなるだろう。iPhoneのアラームをかけて22時に就寝。しかし隣室の物音がうるさくてなかなか眠れない。このホテルを選んだのは失敗だった。1時間毎に目が覚める感覚で朝までの時間を過ごした。
当日。
起床は5時30分。ランニングウエアを着て、その上にAIGLEのソフトシェルのジャケットとパンツを着る。寒そうなので、マフラーを巻いて6時30分ごろ出発。6時54分倉敷発の電車に乗る。ランナーたちでほぼ満員。約10分で総社駅到着。ランナーたちは駅を出てすぐ南のほうに向かい始める。そちらのほうが近道のようだが、コンビニに寄りたいので、昨日と同じ道を通って会場に向う。途中、セブンイレブンに寄って、手袋とパンとおにぎり、お茶を購入。7時30分ごろ、会場のスポーツセンターに到着。選手の控え更衣室になっている体育館に入る。みんな1階の床に、ビニールシートなどを敷いて場所を確保している。レジャーシートのような敷物を用意してくるべきだった。2階の観客席も利用できるようだ。椅子に腰掛けて着替えもできるので、一瞬2階へ行こうと思ったが、荷物の安全を考えて、周囲に大勢の人がいる1階にした。着替えを入れてきたビニールの袋を敷き、リュック、シューズ袋などで自分のコーナーを作る。おにぎりとパンと日本茶の朝食。着替えを済ませ、小さなショルダーバッグに財布とかの貴重品を入れて、まずはトイレに行く。会場に仮設トイレはなく、体育館内のトイレを利用。15分並んで、やっと使えた。体育館を出て、貴重品預かりのコーナーに向う。受付の前で「財布等、貴重品だけですか?そのバッグも一緒ですか?」と聞かれ、バッグも一緒だというと、別の列に並ばされる。並んでいる間に開会式がはじまった。
フルを走る市長。
若い市長が壇上に立った。今回は参加者が過去最高の1万5千人を越えたこと。中四国エリアでは最大のマラソンと言えること。人気の理由は、歴史的な景観とフラットなコースにあるということ。東京マラソンと同時開催で、今回のスローガンは「打倒、東京マラソン」であるという。後のアナウンスによると、どうやら市長もフルを走るらしい。走り込んだ体型ではないので完走は辛そうだ。地方の大会らしく、大会役員が入れ替わり出てきて挨拶をする。最後に招待選手が紹介される。天満屋の女子陸上部の若手ランナーが二人。彼女たちは走るのだろうか。高校駅伝の名門興譲館の選手もゲストで呼ばれているらしい。貴重品を預ける。有料300円也。開会式の間から選手たちはスタート地点に向って移動を始めている。まず9時にハーフがスタート。フルは、9時15分スタート。スポーツセンターの少し北にあるスタート地点に向うと、回りは紫ゼッケンのハーフの選手ばかり。フルはどこに並べばいいのだろう。黄色ゼッケンのフルの選手を見つけて、「フルはどこに並ぶのですか?」と聞いてみると、「ハーフがスタートした後だよ」という答。なるほど。ハーフがスタートするまでフルの選手は、道路脇で待機する。ほどなくハーフがスタート。5分ほどでハーフのランナーたちがいなくなる。目標タイムのプラカードを持ったスタッフが立っている。僕は目標タイム4時間〜4時間30分のプラカードの列に並んだ。
装備。
装備を記録しておこう。今回は家族も友人も応援に来ていないので、見つけやすいウエアは要らない。だから、いつも練習で着ているウエアにする。トップは、メッシュのTシャツの上にワコールCWXの冬用の厚手のハーフジップ。ボトムは、ワコールCWXのタイツ用アンダーパンツにミズノのタイツ。その上にニューバランスの膝丈のハーフパンツを履く。シューズは1月に買ったミズノのウエーブスペーサー。帽子はナイキのバイザー。手袋は、コンビニで買ったスマートホン対応のニット製。シューズ以外は黒。これにワコールCWXのウエストポーチ。時計はGARMINのFR405とセイコーランナーズウオッチ。GARMINGPSモードにすると、昨日からGPSがONのままであったことに気づく。ということはゴールまでバッテリーが持たない可能性がある。
スタート。
天候は曇り。雨は大丈夫そうだ。気温は6℃。風はあまり感じない。いよいよスタート。号砲、すぐに集団が動き出す。最初の数百mはジョギングペースだ。すぐに左に折れ、南へ向う。1kmをキロ7分少しのペースで通過。スタートのタイムロスはほとんどない。しかし身体がいつもより何となく重い。すぐに市街地を出て田園の中を走る一本道を走る。しばらく行くとフルとハーフの分岐点。右がフルだ。右に折れた後、左折を繰り返す。あれ、こんなコースだったっけ…。コースマップをもっと詳しく見ておくべきだったと後悔する。土地勘がない初めてのコースを走る時、いま自分が、どこをどっちに向いて走っているかわからなくなってしまうことが多い。そのまま走り続けると、疲労につながることが多い。今回のコースは、反時計回りに、西→南→東→北→西→南→東に向うので、方角さえわかれば、だいたいどこを走っているかわかるだろうと軽く考えていた。しかし、先ほどのフルとハーフの分岐点から先、方向も位置もわからなくなってきた。「清音」という標識が見えてきたので、総社のひとつ南の清音駅が近いことはわかったが、方角がわからない。ようやくペースが落ち着いてきて、勝手にペースランナーに見立てたランナーも見つかり、ひと息ついた。しばらく行くと道はゆるやかな登り坂になった。しかも、だらだらと長く続く嫌な感じの坂である。たちまちペースが落ち、ペースランナーにも置いて行かれる。そばを走っていたランナー二人が「この坂、けっこう地味にきついっすね」と語り合っている。市長は「フラットなコース」って言ってなかったっけ?年が明けてから坂道の練習をほとんどしていなかったことに今頃気づかされた。坂の頂上まで来ると、ふくらはぎに乳酸がたまったようなだるさを感じる。坂の走り方を工夫しないと。ようやく坂を登りきり、下りにかかる。ペースランナーははるか先に行ってしまって見つけられない。右に園芸センターのような施設が見えてきてトイレの表示を発見。行列もなさそうなので迷わず利用。コースに戻ると、ペースを少し上げる。しばらくいくと県道を外れ、農道のような道に入る。
里山を走る。
後で調べると「吉備路自転車道」だった。小川の側の細い道を行くと、左手前方に五重の塔が見えてきた。塔は、ぐんぐん近づいてくる。これが備中国分寺。このお寺をめぐる遊歩道のような道を走る。お寺観光のついでなのか沿道に応援が多い。自転車道に入ってから、コースが、細かく変化する。舗装が変わったり、土の道になったり、急に曲がって小川にかかる小さな石橋を渡ったり、足の負担が大きい気がする。ようやく10kmに到達。しばらく行くと「フル25km」の表示。今走っているのは、このコースの特長のひとつである同じ道を2回走るセクション。反時計回りのコースの15km辺りでコースを外れ、コースの10km付近に戻って、再び同じルートを走る。頭では理解しているが、実際に走ると混乱してしまい、自分の位置と方向がしばしばわからなくなってしまった。次にこのコースを走る時は、今回のような混乱は起こらないと思うが最初はしょうがない。しかも農道のように地形に沿って道が何度も曲がるため、よけいにに混乱する。しかし悪いことばかりではない。いつしかコースの細かい変化を楽しんでいる自分に気づいた。土の道、田んぼのあぜ道に毛が生えたような道、自転車道、川に沿って走る道。小さなアップダウン、トリッキーな曲がり方。小川の側をたどる道…。里山の自然の風景を散策しながら走るような楽しさ。これこそが、このマラソンの魅力ではないかと思い始めた。また、この区間は、コースの中でも最も歴史的な景観が楽しめるエリアでもある。造山古墳などの巨大古墳が点在する。この風景は、奈良の飛鳥や播磨地方に似ていると思った。いちばん近いのは、奈良の「山辺の道」かな。神社や古墳が点在する風景の中を辿る小道は、どこまでも懐かしい。吉備は、古代、出雲と並ぶ勢力を持つ王国が栄えていたと言われる。いつか自転車で、このエリアを散策してみると楽しいかもしれない。しばらくして、何とジーンズを履いたランナーが追い抜いていった。しかも、かなりピッタリのジーンズで、結構速い。「おい、マジか?」と言いたくなる。ジーンズのような、しっかりした綿素材のパンツでマラソンを走るのは狂気の沙汰。縫い目が擦れて、かなり辛いことになるのは間違いない。とてもフルは持たないだろう。牧場のそばを通る。馬がいる。のどかな里山の風景が続く。前方に高速道路が見えてきた。ということはコースの東の端に到達したことになる。ここで北西に進み、途中で右折して、自転車道の入口辺りまで戻って合流するコースを辿る。iPhoneにメッセージが届く。妻からだ。「東京マラソンは、藤原が日本人トップで7分台。川内は失速。すごーく面白かった。君もがんばれ!」と。田畑や古墳、小川といった田園風景の中を淡々と走る。走り始めの身体の重さは、いつのまにか消えている。雨が降る気配はないが、空は重く曇って、気温が上がらない。腕から先が冷えきっている。そろそろ中間地点だ。22km過ぎで、元のコースに戻る。1個目のジェルサプリを補給。お寺や古墳、牧場など、見所いっぱいの道だが、同じルートをもう一度走るのは辛い。同じルートを走り終えた辺りがちょうど30km付近。案の定、足が重くなりはじめた。2個目のジェルサプリを補給すると、気のせいか、足が軽くなった。道はしばらく高速道路に沿って走る。ふと気がつくとGARMINの表示が消えている。心配した通り、バッテリーが持たなかったのだ。
歩く男。走る女。
歩いているランナーも増えてきた。その中に、女性で、とても辛そうな走りを続けているランナーがいた。足が痛いのだろう。片足を引きずるようにして辛うじて走っている。いまにも止まりそうなのだが、止まらない。しかもペースはそんなに遅くない。2〜3分で追いついて、追い抜く。しばらくして給水所で水を飲んで、走り出すと、彼女が前を走っている。こちらが給水で止まっている間、彼女は給水せずに、先行したのだ。しばらく、また追いついて、追い抜くというパターンを繰り返した。そのうちにこちらのペースが落ちてきて、彼女を抜くことができなくなった。今にも止まりそうな、倒れそうなフォームなのに、確実に進んでいく。35kmを越えると歩いているランナーがどんどん増えてくる。ふと気がついたのだが、歩いているのは、圧倒的に男性が多い。女性は、どんなに辛そうでも走っている。女性は、痛みや疲労への耐性が強いので、男性よりも粘り強い、という話を聞いたことがある。市街地に入った。給水所で、立ち止まって最後の水を補給する。ここから後はノンストップで行くつもり。これまでのマラソンよりも足の裏が痛くなっていた。路面の細かい変化のせいなのか。道が下り坂になって鉄道か道路の下をくぐって、登り坂になる。けっこう長い。歩くような速度になるが、かろうじて走り続ける。坂の上のほうに先ほどの女性の後ろ姿が小さく見えた。坂を登りきると、もう3kmを切っている。ジーンズのランナーを追い抜く。前半、先に行ってしまった見覚えのあるランナーを何人か追い抜く。止まりさえしなければ、完走できる。GARMINが止まってしまったのでペースがわからないが、とにかく足を動かし続ける。足を動かし続ければ、ペースが自然に上がってくる。4時間30分はもう無理だが、4時間45分は切りたい。総社駅の前を通ると、あと2km。スポーツセンターの屋根が見えてきた。最後の500mで数人を抜いてゴール!すぐにICチップを外してもらい、完走証を受け取る。4時間45分10秒。妻にゴールのメッセージ。ついでにNike+GPSからFacebookに投稿する。FBを見ると東京マラソンに参加していたT氏はとっくにゴールし、3時間44分台、速い。フルマラソン初挑戦のM氏はゴールできただろうか。放送で、市長がもうすぐゴールすることを伝えている。「みんなゴールのところへ行って市長を声援しましょう」と呼びかけている。給食コーナーに行きかけるが長い行列を見て断念。体育館に戻って着替える。体育館のフロアは、すでにガラガラ。手足が冷えきっていて、着替えに時間がかかる。着替えを済ませて、荷物をまとめ、貴重品を受け取りに行く。駅までの2km弱が辛いので、タクシーを探すが見つからず、しかたなく歩く。総社駅から電車に乗ると、岡山駅へは、予定より一時間近く早く着きそうだ。iPhoneから大阪行きの新幹線を1時間早く変更する。岡山駅でコーヒーを飲んで、おみやげを買って、のぞみに乗る。1時間弱で新大阪到着。6時過ぎには自宅に帰ってきた。風呂に入って、夕食を食べたら、「平清盛」を見ながら眠りこけていた。
総括:よいマラソンだった。
東京にフラれ、京都にフラれ、篠山にまでフラれてエントリーした「そうじゃ吉備路マラソン」だったっが、走ってみると、けっこうよかった。都市マラソンの対極ともいえる、自然と歴史的景観の中を走るコースは、変化に富んでいて楽しめた。「田んぼのあぜ道」か「農道」かと思うようなコースも、里山を散策しているような楽しさがあった。それと市長自らが走るほど、市をあげてマラソンを盛り上げようとしている。サポートもしっかりしていた。給水/給食も、都市マラソンに負けないくらい充実していたのも印象的だった。東京マラソンのような都市型ビッグマラソンも楽しいが、地方のマラソンも楽しいと思った。前日に倉敷を観光して、当日マラソンという日程なら、もう一度来てもいいなと思った。