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和合亮一「詩の礫」

たぶん40年ぶりぐらいに詩集を買った。NHK BS「週刊ブックレビュー」のおすすめ本。著者は詩人。福島で生まれ、福島に住んでいる。震災の直後からTwitterでつぶやき始める。つぶやいた直後、全国から171人のフォローがあった。翌朝には550人、3日目の朝には800人、本書を書いた5月には1万4000人に増えたという。詩人がtwitterでつぶやき、それが「詩」になっていく。「週刊ブックレビュー」の推薦者である哲学者は、本書に綴られた言葉が「美しい」と言った。僕は、これ以前に、著者の詩を読んだことがなかった。詩というジャンルの文学は、とっくに力を失っていると思っていた。詩人という人種は、もはや絶滅危惧種であると思いこんでいた。そんな詩が、今回の震災や、津波や、放射能、さらにtwitterによって、息を吹き返した。本書の中で、詩が進化していく。震災後も、絶え間ない余震と絶望的に悪化していく原発事故、そして多くのフォローによって、言葉が磨かれ、研ぎすまされ、「詩」の言葉になっていく。まるで詩が生まれる瞬間に立ち会っているような戦慄と高揚がある。読みながら、何度も何度も涙が出た。もう自分でも信用しなくなっていた「言葉」の底力に打ちのめされた。本書を推薦した哲学者は、その言葉を「美しい」と表現した。twitterという双方向のメディアの力が本書を造ったとも言える。詩人は震災に出会い、twitterに出会い、本書が生まれた。ひとつひとつの言葉に圧倒的なパワーが宿っている。ある意味、言葉を使って仕事をしている身でありながら、言葉を信用できなくなっている自分が恥ずかしくなった。