「5本指」という名のクツ

「BORN TO RUN」に出てきた「fivefingers」。
5月24日のエントリーで書いたスゴ本「BORN TO RUN」の中でベアフット・テッドが履いていたシューズ。かなり裸足に近い感覚だという。アウトドアシューズのソールで有名なビブラム社が発売している。種類は注文した時点では4種類だった。しかし商品と一緒に送られてきたカタログを見ると、種類が増えている。よりランニングに適したモデルが増えたようだ。購入したのはKSOというモデル。Classic、Sprintに比べると足入れ部の開口部が小さく、小石などが入り込みにくい。

店頭でサイズを合わせ、ネットで購入。
買ったのはネットショップだ。自分の場合、実際に履いてみることができないのでネットでシューズを買うことはほとんどない。しかしfivefingersを置いている店がわからない。大阪市内のスポーツショップを数店回ってみたが置いていない。たまたま、いつも行くFoxfireギャレ大阪店に立ち寄ると「クラシック」というモデルが一足だけ置いてあった。男性用でサイズが大きすぎる。店のスタッフに他のサイズはないか聞いてみたが、この一足だけだという。大阪でほかにfive fingaersを置いてる店はないか聞いてみると、阪急ingsにfivefingersを置いてる店があるという。早速行ってみると、1階の奥のカジュアルシューズコーナーで発見。何種類かあるようだ。お目当てのKSOも置いている。スタッフを呼んでサイズ違いを出してもらう。男性用は26cmからしかなく、女性用を出してもらう。25cmで少し大きいと感じる。24.5cmがぴったりだが、色がピンクしかない。サイズはわかったので、ネットで購入することにする。最初はAmazonで注文。しかし1週間もしない内に「仕入先から入荷する可能性がなくなったので、注文をキャンセルさせていただきます」というメールが来た。仕方なく楽天の店ウオーキングロッジhttp://thewalkinglodge.com/で注文。KSOというシリーズのブルー・グレイのカモフラージュ・パターンだ。
武庫川河川敷で初歩き。スゴい。
サイズがぴったりすぎて履くのに苦労する。長年のクツ生活で閉じてしまっている5本の指が、なかなか所定の位置に入ってくれない。もう0.5cm大きくてもよかったかもと思う。履き心地は靴というより足袋の感覚だ。見た目は家人に言わせると「かなりヘンだ」そうだ。念のため、5本指のソックスと、ナイキのFREEをランニング用リュックに入れて家を出る。ネットの商品解説で、いきなり走るのではなく、短いウォーキング→長いウォーキング→短いランニング→長いランニングという順序で慣らしていくようにと書いてある。まずは歩きから。家から河川敷に出るまでの道は石畳とアスファルトだが、問題なし。ちょっとした凹凸や段差もはっきり感じとれる。河川敷に降りる。小石混じりの地面を通って芝生とアスファルトの道へ。小石を踏むとけっこう痛い。しばらく芝生を歩く。これはスゴい。芝1本1本を感じ取れるような感触。地面の小さな砂粒までも感じられる。芝生、草むら、地面、アスファルト、水際のコンクリート堤防の斜面…。ぜんぶ違う。うれしくなって、いろんなところを歩いてみる。靴でこれだけ感動したことがあるだろうか?
走ってみる。硬い。
試しに数百メートル走ってみる。のどかな「歩き」と違って、すこし緊張する。芝生も、地面も、ガラリと印象を変える。硬いのだ。着地のショックがダイレクトに来る感じ。このまま走り続けると足底筋膜炎になりそうだ。アスファルトを走るとさらに硬く感じる。やはりいきなり走るのではなく歩くところからじっくり始めていこう。往復で4キロ。その内、1キロほどを走った。芝生や地面なら数キロは走れるだろう。しかし急ぐ必要はない。
意外と誰も気づかない。
意外だったのは、すれ違う人がfivefingersにほとんど気づかないことだ。唯一気づいたのは堤防の斜面に座り込んでいた数人の小学生の目の前を通り過ぎた時だけ。少年たちの好奇心いっぱいの視線が追いかけてきた。ランナーでも、あまり足元を意識していないのかもしれない。人々の視線を気にせずに走れることがわかったのは収穫だった。
「足という芸術作品」
「BORN TO RUN」のなかに、レオナルド・ダビンチが人間の足について、人体の骨の4分の1で構成される精妙な体重支持装置を備えた「工学の傑作にして芸術作品」と考えていたという文章がある。また足には多くの神経や感覚が集中しており、人体の中でもひじょうに敏感な器官であるという。「足をクッションつきのシューズで覆うのは、煙探知機の電源を切るようなものだ」というテッド自身の文章もある。fivefingersは、もともとヨットのデッキシューズとして作られた。それをベアフット・テッドがランニングに使えることを発見し、メーカーはランニングや他のスポーツへ展開していったという。fivefingersは、これから自分の走りをどのように変えてくれるだろう。レビュー等によると、しばらくするとランニングにも変化が現れてくるという。カカトからの着地が、足裏全体での着地に変わってきたという。自分もしばらく続けてみて、またレポートを書くことにしよう。