ローレン・アイズリー「星投げびと--コスタベルの浜辺から」

たしか東京駅前の八重洲ブックセンターだったと思う。仕事を終え、大阪に帰る新幹線の出発までの時間を、本のタイトルを眺めながら過ごそうとしていた。目に飛び込んできたのがこのタイトル。「星投げびと」すぐ手に取って、ぱらぱらと中身を見て、そのままカウンターに向かった。アメリカの自然科学者で、詩人でエッセイストという以外は何もわからなかった。しかし、このタイトルが本棚に並んでいるのを眺めるだけでいいと思った。新幹線の中で早速読み始める。海辺の家に暮らし、浜辺を散歩し、孤独な思索を続ける…。自然について、文明について、宇宙について。「星投げびと」の原題は「Star thrower」で、Starとはヒトデのことである。つまり浜辺に打ち上げられたヒトデを海に向かって投げる男に会った話だった。家に帰って「星投げびと」は、本棚の割と好きな本が並んでいるところに並べた。時間のたっぷりある夜に、じっくり読もうと思っていてまだ読み終えていない。ちなみにこれまでタイトルだけで買ってしまった本は
藤枝静男「悲しいだけ」
吉行淳之介砂の上の植物群