内田和成「異業種競争戦略」

業界というものがある。家電業界、銀行業界、旅行業界…。どの業界でも競争相手は同業他社であった。SONYのライバルは、パナソニックトヨタのライバルは日産、JTBのライバルは近畿ツーリスト、三越のライバルは伊勢丹…。しかし、最近、そのルールが通用しなくなっている。 いまやSONYのライバルは、音楽プレーヤーでいうとAppleであり、伊勢丹のライバルは、楽天などのネットショッピングだったりする。このような異業種格闘技ともいえる現象がなぜ起こっているのか。それを解明しようとした本。
現状の分析は鮮やかだ。その通りだと思う。問題はその先だ。異業種格闘技に巻き込まれシェアを奪われつつある企業は、どう戦えばいいのか。その具体的な例が書かれていない。抽象的な議論で終わってしまっている。欲しいのは、これから先の話なのだ。その答は、自分たちが考えるしかないのか?