ライアル・ワトソン「思考する豚」 

昨年亡くなったワトソン博士の、いよいよ最後の著作。
知ってるようで知らない豚の生態。その知能は類人猿に
匹敵するという。古今東西のエピソードを紹介しながら、
語られる人類の隣人「豚」の話はとても面白い。

ねつ造などで批判の多かった人だが、晩年はアイルランド
僻地に住み、連絡手段は郵便だけだったという。
翻訳は「生物と無生物の間」の福岡伸一
彼は、アイルランドの僻地まで出かけて、ライアル・ワトソン
家を訪れている。解説の中で福岡伸一はワトソンの弁護を一切
せず、彼の思考には「統一への希求」があったと述べている。

もし彼が科学者でなく、科学ジャーナリストか、作家であったら
あんなに批判されることもなかっただろう。
80年代後半から90年代にかけて、とても大きな影響を受けた
著者の最後の作品。様々なエピソードを縦横無尽に紹介しながら
語っていく、あの語り口は健在だ。読み終えるのを惜しみながら
読んだ。