ITビジネス

逸木 裕「電気じかけのクジラは歌う」

前回投稿の「風を彩る怪物」の著者による音楽SF or ミステリー?。 個人的には音楽を題材にしたSFだと思うが、現在では普通の小説とSF小説の壁は融解しつつあり、本書ぐらいの近未来設定であればもうSFと呼ばないほうがいいのかもしれない。 AIが音楽を創り…

新井紀子「AIに負けない子どもを育てる」

「A I ブーム本」っぽいが、内容は正反対。 前作の「AI vs 教科書が読めない子どもたち」と同じく「AIブームに乗っかって売らんかなの意図丸出し」のようなタイトルだが、中身は全然違っている。逆にAIブームの不毛さを警告するような内容である。そして何よ…

桃田健史「EV新時代にトヨタは生き残れるのか」

自動車産業の動きが激しい。少し前から自動車関連の仕事に関わる機会があって、自動車産業のトレンドを継続的にウォッチしている。しかし、ここ1〜2年の自動車産業の動きは、激しすぎて、その全貌が見えない。特に本書に書かれているような「EVブーム」は…

高城剛「不老超寿」

「ドローン」の次は「医療」かよ! 著者の高城剛にはいつも驚かされる。デジタルメディアのクリエイターとして活躍しているかと思ったら、突然、会社や財産をすべて処分して、世界中をLCCを駆使して移動する生活を送ったり、専用の炊飯器を持ち歩いて「発芽…

大西康之「東芝解体 電機メーカーが消える日」

僕のコピーライターとしてのキャリアの8割ぐらいは、家電メーカーの広告や販促、イベントに関わる仕事だった。そして後半は、通信大手の広告や販促にも関わった。今世紀に入ってからの仕事は、本書で描かれた電機メーカー凋落の時期と重なっている。その間…

高城剛「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は世界を制す」

読んで、かなりショックを受けた。これまで著者の本を何冊読んできたことだろう。怪しいという人もいるが、新しいトレンドを嗅ぎ分ける嗅覚の鋭さと、自身のライフスタイルすらガラリと変化させてサバイバルしていく柔軟性には、いつも驚かされる。著者は、2…

渡邊恵太「融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論」

駅で偶然会ったデザイナー、M君のオススメ。今年の春にすでに購入ずみだったが、買ったことをすっかり忘れていた。本書のテーマは「インターフェイス・デザイン」。2年ほど前にスマホのアプリのUIをデザインする仕事に関わっていて、「フラットデザイン」「…

松林弘治「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」

僕には子供もなく、しかもオヤジでもあるので、ほぼ関係ない本である。しかし、この本に書かれていることはほぼ正しいと思う。茂木健一郎氏も、若者に向けて「これからは英語とプログラミングが必須科目」と言っている。僕自身も、アプリ開発やインターフェ…

クリス・アンダーソン「MAKERSー21世紀の産業革命が始まる」

Kindleで読みたかった。 「FREE」「ロングテール」に続く第3弾。Kindle版で読みたかったが、肝心のKindleが1月配達なので、紙の本を買う。Webやデジタルの世界で起きている潮流が、今度は製造業を変えていこうとしている。その変化を描いた本だ。ワクワク…

佐藤尚之『明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法』

著者とは過去に何度か仕事を一緒にしたことがあり、現在も自分が勤める会社が一緒に仕事をさせていただいている。それにしても、ここ2年ほどの著者の活躍はただごとではない。鳩山首相との会食に始まり、震災以降の八面六臂の奮闘ぶりはソーシャルメディアの…

境 治「テレビは生き残れるのか」

ここ1〜2年の間読んだ、スマートテレビやテレビの未来を考察した本の中で一番よかった本。よかった理由は、未来のテレビのありかたや広告ビジネスのありかたを曲がりなりにも提示してくれていること。「インターネットやソーシャルメディアの普及によりテ…

高城剛「私の名前は高城剛。住所不定、職業不明」

数年前から、自らのライフスタイルを一変させ、オーガニック・ノマドと言ってもいいような生活を送っている高城剛が、自らを語った初めての本。この人は、どこか胡散臭くて信用できない、という人もいるが「時代を見る眼の確かさ」「物事の見きわめの早さ」…

レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース「シェア」

三浦展「これからの日本のために『シェア』の話をしよう」に続く「シェア」の2冊目。2冊とも、自分にとって、とても重要な本になると思う。そして、ここ数年、考え続けている問題の答があると思った。しかし読んでいる途中は、かなり辛かったことも告白し…

山田順「出版大崩壊 電子書籍の罠」

出版中止?禁断の書? 帯の「某大手出版社が出版中止した禁断の書」というコピーで退いてしまったが、著者の経歴を見て、購入。著者は、光文社に入社し、雑誌「女性自身」の編集長も勤め、カッパブックスの編集者としても活躍したベテラン編集者。2010年、34…

佐々木俊尚 「キュレーションの時代」

この著者の本には随分影響を受けていると思う。本書は、「新聞・テレビが消滅する日」「電子書籍の衝撃」に継いで、メディアの未来を真正面から論じたメディア論である。前2作から著者の主張は一貫している。インターネットなど、デジタルメディアの発達と…

オガワカズヒロ「ソーシャルメディア維新」フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図

今年読んだIT関連の本の中で、後半は、最も重要な本だと思う。 前半が、佐々木俊尚氏の「電子書籍の衝撃」 http://d.hatena.ne.jp/nightlander/20100426 だとすれば、後半はほぼ間違いなく本書だろう。「本に書かれていることなんて、もう過去のことだ」とい…

内田樹「街場のメディア論」

今年になって4冊目の内田樹の本。内田先生は、自分がいま一番信頼できると思っている論客の一人。いつもながら独自でありながら、しかも説得力のある論理展開でぐいぐいと読者を引っ張っていく。新聞やテレビなどのマスメディアが凋落しつつあると言われて…

iPad、第一印象

第一印象。違和感。 5月28、iPadが到着。かなりの違和感。この第一印象を記しておこう。3ヶ月も経てば、この違和感は消え、すっかり馴染んでいるはずだから…。 持ち方が決まらない。 大きなディスプレイをむき出しのまま持つ違和感。重量も思った以上に…

佐々木俊尚「電子書籍の衝撃 本は以下に崩壊し、いかに復活するか?」

2010年に読んだ本の中で、いまのところベストの本ではないか。活字中毒者の自分として、とても気なるのが「本の未来」。相次ぐ雑誌の休刊、若者の活字離れ、一部を除いてベストセラーの不在。いっこうに立ち上がって来ない日本版電子書籍のビジネス。そ…