古代史

新之介『凹凸を楽しむ 大阪「高低差」地形散歩』

「アースダイバー」の頃。 10年以上前、東京港区に3年ほど住んでいたが、坂が多いのに閉口したことを覚えている。特に2年目に引っ越した南麻布のマンションは、崖のすぐ側に建っていて1階と3階に入口があるヘンな構造だった。1階と3階では、外に出た周…

内田樹 釈徹宗「聖地巡礼 ビギニング」

先日、内田先生が語るシンポジウムを聞いて、ますます冴えわたる直感ブッ飛びロジックにゲラゲラ笑ってしまった。中に出てきた京都東山の鳥辺野、長崎の隠れキリシタンの話が面白かった。シンポジウム後の質問時間で聴衆の一人から徳島県にノアの方舟が流れ…

吉野裕子「蛇 日本の蛇信仰」

「鏡餅」の由来を知っているだろうか? 一説には、穀物神である年神(歳神)へのお供えであり、三種の神器である、八咫鏡(やたのかがみ)を形どったと言われるが、明らかではない。 本書によると、大小の餅を重ねた、あの形は「トグロを巻いた蛇」を現して…

高山貴久子「姫神の来歴 古代史を覆す国つ神の系譜」

古代史本をもう一冊。 前回エントリーの村井康彦「出雲と大和」と前後して読んだ。「出雲と大和」は歴史学者による古代史幻想紀行ともいえる本だったが、偶然、本書も、歴史の舞台を訪ね歩く古代史紀行のような構成となっている。著者は古代史には、まったく…

村井康彦「出雲と大和 古代国家の原像をたずねて」

日本という国の始まりに、大きな謎がある。古代史の本を読む楽しさは、この謎を解明する楽しさである。邪馬台国の謎、卑弥呼の謎、出雲神話の謎…。古代史の研究者のみでなく様々な人々がこの謎に挑戦してきた。作家、哲学者、多くのアマチュア研究者たち…。…

藤原新也 安倍龍太郎「神の島 沖ノ島」

九州、玄界灘のまん中に「沖ノ島」と呼ばれる小さな島がある。この島は、ふだん一般の人間の立ち入りは禁止され、女人禁制でもある。はるか古代から島全体がご神体とされ、島内の巨石群で祭祀が続けられてきた。祭祀の度に多くの宝物が奉納され、その数は十…

中沢新一 NHKカルチャー講座「アースダイバーと読み解く 大阪の記憶」

ナマの中沢新一の話を聞くのは2度目。前回は内田樹や釈徹宗とのシンポジウムだったので単独の講座は初めて。教室は満員。話は東京の「アースダイバー」から。「アースダイバーとは何か?」というところから語り始めるので本を読んでいる人間には最初は少々か…

中沢新一「大阪アースダイバー」

2005年に出版された「アースダイバー」はとても面白い本だった。 縄文時代の地図を頼りに現代の東京を探検するというアイデアは秀逸で、東京勤務時代、単身の退屈な休日に、この本を鞄に入れて、自転車であちこち走りまわった記憶がある。その「大阪版」…

藤井耕一郎「大国主対物部氏---はるかな古代、出雲は近江だった」

近江に「ヘソ」「マガリ」という地名がある。 滋賀県の野洲川近くに「ヘソ」という地名と「マガリ」という地名が隣り合わせに位置する場所がある。上りの新幹線で京都駅を出て、トンネルを抜け、瀬田の鉄橋を渡ってしばらく走ったところにある。自由の女神の…

高城修三「日出る国の古代史ーーその三大難問を解く」

書店に行くと必ず古代史のコーナーをチェックするが、本書もそこで発見した一冊。高城修三という著者の名前を覚えていた。著者の紹介に1977年「榧の木祭り」で芥川賞を受賞とあった。その作品を読んだことはないが、誰かの書評で「民俗学な手法や知識を用い…

臼田 篤伸「銅鐸民族の悲劇ー戦慄の古墳時代を読む」

数年に一度、「マイ古代史ブーム」がやってきて、古代史関係の本を読みまくるが、そのきっかけになるのは一冊の本だったりする。その一冊に出会うことを期待して、年に十数冊は古代史関連の本を読むことにしている。本書も、そんな読書の中の1冊。古代史を…

足立倫行「激変!日本古代史  卑弥呼から平城京まで」

2〜3年に1度、古代史の本を無性に読みたくなる時期が訪れるが、今はその時期ではないので、割と冷静に読めた1冊。古代史おけるお決まりの「謎」を、古代史ビギナーの作家が、最先端の研究者たちに問いかけるというスタイルで語っていく。ちょうど自分の…

吉村作治・梅原猛『「太陽の哲学」を求めて』

福岡伸一の対談集「エッジエフェクト」の梅原猛との対談の中に出てきた本。個人的な課題図書としていた本である。2008年、梅原猛は吉村作治の案内でエジプトを旅することになった。彼は出発までにエジプト文明の予習をしておこうと吉村作治の著書を読み、す…

坂本龍一 中沢新一「縄文聖地巡礼」

「縄文」という言葉に反応、中沢新一の名前で手に取り、坂本龍一という意外性で購入。中沢新一は、割と読んでるほう。「未来から来た古代人 折口信夫」 以来かな。「アースダイバー」「精霊の王」「芸術人類学」と読みつないできた。中沢新一の本はどれも文…

梅原猛「葬られた王朝 古代出雲の謎を解く」

数年に一度「古代史マイブーム」とでもいうべき熱中期が訪れ、数カ月の間、古代史関連の本ばかり読む時期が続く。梅原猛の本も、そんなマイブームのきっかけになったりする。「隠された十字架」「水底の歌」「神々の流竄」など…。著者の本は、どれも、いわば…

谷川健一「古代学への招待」

「青銅の神の足跡」「白鳥伝説」など、目からウロコ体験満載の名著の著者による古代学入門。目次を見て購入。 「邪馬台国と物部王国」 「金属と白鳥」 「山部の物語」 「古代巫女王の系譜」 しかし、この手の本って、時間に余裕のある時でないと、なかなか読…

河内 厚郎 /淀川ガイドブック編集委員会「淀川ものがたり」

海の近くで育ったせいか、住まいの近くに「水」がないと落ち着かない。社会人になってからの住まいは、ほとんど「川」の近くで選んできた。3年の東京勤務を終え、関西に戻ってきた時、いちばん懐かしく思ったのは「淀川」の存在。電車で大阪市内に向かう時…

吉野裕子「山の神」

同じ著者の「蛇」という本を読んで強烈な印象が残っている。鏡餅はとぐろを巻いた蛇を表している。「カガミ」の「カガ」は蛇を表し、「鏡」とは「カガの目」つまり蛇の目から来ている等、目からウロコが何回も落ちた経験がある。本書は日本古来の神様は、そ…