ノンフィクション

最相葉月「星新一 一〇〇一話をつくった人」

著者のノンフィクション「セラピスト」がとてもよかったので、他の作品を読みたくて、「なんといふ空」と「仕事の手帳」というエッセイを読んだ。その「仕事の手帳」の中で紹介されていたのが本書。読んでみたら「セラピスト」以上に衝撃を受けた。なんでも…

斎藤 環「世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析」

「ヤンキー」が話題である。「マイルドヤンキー」とか言うらしい。とても気になるし、その議論に違和感を覚える。本書は2012年に出版された本だが、感想がうまく書けないでいた。現在の「ヤンキーブーム」のきっかけを作ったような本であり、再読してみた。…

最相葉月「セラピスト」

今年のマイベストになりそうな予感。というより、この数年来の読書の中でもベストかもしれない。面白さ、読み応え、スリリングさ、感動の深さ、知的満足感、読後感…。どこを取っても文句なし。一人でも多くの人に読んでほしい。それで、人に薦めようとするの…

吉野裕子「蛇 日本の蛇信仰」

「鏡餅」の由来を知っているだろうか? 一説には、穀物神である年神(歳神)へのお供えであり、三種の神器である、八咫鏡(やたのかがみ)を形どったと言われるが、明らかではない。 本書によると、大小の餅を重ねた、あの形は「トグロを巻いた蛇」を現して…

高山貴久子「姫神の来歴 古代史を覆す国つ神の系譜」

古代史本をもう一冊。 前回エントリーの村井康彦「出雲と大和」と前後して読んだ。「出雲と大和」は歴史学者による古代史幻想紀行ともいえる本だったが、偶然、本書も、歴史の舞台を訪ね歩く古代史紀行のような構成となっている。著者は古代史には、まったく…

川上和人「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」

あなたは、ふだん「恐竜」の本を買うだろうか?よく立ち寄る書店の新刊コーナーで、ある日、あなたは「恐竜」に関する新しい本を目にする。著者の名前は知らない。価格は1974円。その本を手に取ってレジに持っていくだろうか?僕は買わない。「恐竜」のこと…

V.S.ラマチャンドラン「脳のなかのの天使」「脳のなかの幽霊」

本書を読んだ後、前々作「脳のなかの幽霊」をパラパラと拾い読みしていたら、何だか面白くなってきて、結局、全部読み通してしまった。異様にわかりやすくて面白かった前々作に比べると新作「脳のなかの天使」はちょっと後退。その一方で扱われているテーマ…

前野ウルド浩太郎「孤独なバッタが群れるとき サバクトビバッタの相変異と大発生」

久しぶりのサイエンスドキュメンタリー。本探しの参考にさせてもらっているサイトの一つにKinokuniya BOOKWEBの書評空間BOOKLOGの朱野帰子氏のブログがある。同ブログは、「いい本」というより「ちょっとヘンな本」を紹介してくれるのだが、中でも本書は「ヘ…

トルーマン・カポーティ「冷血」再読

高村薫の「冷血」を読んで、その原点ともいえるカポーティの「冷血」を再読したくなった。本棚のどこかにあるはずだが見つからず、結局、新潮文庫で購入。新約らしい。以前に読んだのは、高校か大学の頃なので、ほぼ40年ぶりの再読になる。カポーティは、当…

鹿島圭介「警察庁長官を撃った男」

オウムの犯行と思っていたが。 ひと月ほど、仕事で、ある分野の本ばかり読んでいたので、個人的な読書日記は久しぶり。「ビブリア」の3、ジェフリー・ディーバーなど、数冊。その中でも本書は特に面白かった。国松長官狙撃事件といえば、一般にオウム真理教…

ジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳 ---脳科学者の脳が壊れたとき--」

こんな凄い本を、なぜ今の今まで知らなかったのだろう。少し前に書店の文庫コーナーで見つけて気になっていたが、その時は買わなかった。買うきっかけになったのは4月23日放送のNHK Eテレの「スーパープレゼンテーション」で、著者のTEDトークを見たことだ…

小松左京「小松左京の大震災'95  この私たちの体験を風化させないために 」

SFファン失格。 自分は「SFファン」を自称している。小学校の高学年からSFを読み始め、中学、高校、大学と、人生の最も感じやすい(?)時期をSFを読みながら過ごした。そのせいで、自分の人格形成にSFが深く関わっていることは間違いない、と思っている。ま…

角幡唯介「雪男は向こうからやって来た」

「空白の5マイル」に続く作品。前作は、21世紀の地球に、未踏の秘境がまだ存在していたという驚き。そして、著者自身がその探検に挑むというリアリティ。探検は過酷を極め、著者は生死の境をさまよい、かろうじて生還したという事実。さらに、その秘境をめ…

高城剛「私の名前は高城剛。住所不定、職業不明」

数年前から、自らのライフスタイルを一変させ、オーガニック・ノマドと言ってもいいような生活を送っている高城剛が、自らを語った初めての本。この人は、どこか胡散臭くて信用できない、という人もいるが「時代を見る眼の確かさ」「物事の見きわめの早さ」…

レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース「シェア」

三浦展「これからの日本のために『シェア』の話をしよう」に続く「シェア」の2冊目。2冊とも、自分にとって、とても重要な本になると思う。そして、ここ数年、考え続けている問題の答があると思った。しかし読んでいる途中は、かなり辛かったことも告白し…

山田順「出版大崩壊 電子書籍の罠」

出版中止?禁断の書? 帯の「某大手出版社が出版中止した禁断の書」というコピーで退いてしまったが、著者の経歴を見て、購入。著者は、光文社に入社し、雑誌「女性自身」の編集長も勤め、カッパブックスの編集者としても活躍したベテラン編集者。2010年、34…

藤井耕一郎「大国主対物部氏---はるかな古代、出雲は近江だった」

近江に「ヘソ」「マガリ」という地名がある。 滋賀県の野洲川近くに「ヘソ」という地名と「マガリ」という地名が隣り合わせに位置する場所がある。上りの新幹線で京都駅を出て、トンネルを抜け、瀬田の鉄橋を渡ってしばらく走ったところにある。自由の女神の…

角幡唯介「空白の5マイル」

シロクマさんのオススメで購入。秘境探検ドキュメンタリーは好きなジャンルだが、21世紀のいま、世界中の秘境は踏破されつくしているからだろうか、読むのは、もっぱら19世紀から20世紀にかけての秘境探検の話。本書は、2009年という、ごく最近の探検…

三浦展+SML「高円寺 東京新女子街」

高円寺が、時代とシンクロしているらしい。「下流社会」「シンプル族の反乱」などで知られる著者は、パルコのマーケティング情報誌「アクロス」の時代から自分にとって最も信頼できるトレンドウォッチャーだった。朝日新聞のインタビューの中で、本書を書い…

デイブ・カリン「コロンバイン銃乱射事件の真実」

1999年4月20日コロラド州ジェファーソン郡コロンバイン高校で起きた事件を描いたドキュメンタリーである。同高校の生徒であったエリック・ハリスとディラン・クレボルドが13人を殺害し、24人に重軽傷を負わせた。この事件に関する報道は多く目にしたし、映画…

クリストファー・マクドゥーガル「BORN TO RUN 走るために生まれた」

スゴい本だ。書店で見つけた時に気になっていたが、まさかこれほどの本とは。間違いなく今年の「マイ・ベスト3」に入りそうな本。著者は、自らがエクストリーム・スポーツも手がけるアスリートでもあるジャーナリストだ。しかしランニングだけは、多くの故…

ライアル・ワトソン「エレファントム」

2008年6月に亡くなったワトソン博士の最後から2番目の作品。 ワトソン作品には80年代「未知の贈り物」で初めて出会い、「生命潮流」で人生観が変わるほどの衝撃を受けた。「風の博物誌」や「生命潮流」など、現代の博物誌的な視点と、超常現象など、危うい…

千松信也「ぼくは猟師になった」

めずらしい人もいるものだ。大学(京大)を出て、猟師になった人の話。猟師では食べていけないので、運送会社でバイトをしながら猟師を続けている…。 そうなんだ。日本では、猟師は食べていけないのだ。前半は、なぜ猟師になったか?という生い立ちの話。小…

ライアル・ワトソン「思考する豚」 

昨年亡くなったワトソン博士の、いよいよ最後の著作。 知ってるようで知らない豚の生態。その知能は類人猿に 匹敵するという。古今東西のエピソードを紹介しながら、 語られる人類の隣人「豚」の話はとても面白い。ねつ造などで批判の多かった人だが、晩年は…